子育てをどうする?
88474 日本の伝統的な子育て(明治〜1960年代) 1
 
斎藤幸雄 HP ( 41 愛知 建築士 ) 05/04/06 PM10 【印刷用へ
明治〜1960年代くらいまでの主に農村部で行われていた子育ての実態から、伝統的な子育てから何を学ぶ必要があり、どう活かしたら良いのかを考えて見ます。

■労働する母親
昭和期の大半を通して、広く行われていた子育ては、労働のかたわらに行うのもだった。母親の労働とは、農業や商業などの家業が中心。母親たちはどうやって家業と子育てを両立させていたのか?

「いずめ(いいづめ)」または「えじこ」などと呼ばれる、独特の子育て道具があった。これは、大きなかごのようなもので、あらかじめ底の小便を吸収するためにわらなどをつめ、その上から布団でかごをくるんでひもを縛り、子供が抜け出せないようにする。

昼間に農作業をするとき、いずめに入れて作業現場まで連れて行く。いずめに入れておけば自由に動き回れないから何とか仕事ができる。一方、動きまれななくしてしまうことは、子供にとっては危険と隣り合わせの手をかけられないやり方だった。

■高かった乳児死亡率
乳児死亡率が高く、戦前の乳児死亡三大原因は、「先天性弱質」「下痢および腸炎」「肺炎」で、前者二者が特に農村に多かった。「先天性弱質」の子が生まれやすくなる早産は、母親の過重労働と栄養不足と関係が指定されていた。「下痢および腸炎」は、母親の栄養に関する知識のなさが問題とされた。

■母乳
ほとんどが母乳だったが、授乳の回数が昼間少なくがちだった。農繁期には、暑さも重なり水分不足で体力を消耗して死亡に至る子供が増えた。労働に忙しい母親には、授乳さえも許される行為ではなかった。

もうひとつの問題と指摘されていたのが、段階的な離乳という習慣がなく、長期間にわたって母乳しか飲ませない習慣である。その結果、さまざまな栄養障害や発育の停滞がしばしみられた。

離乳期を経ないで急に大人と同じご飯をあたえるので、消火器系統に負担がかかり、1歳ころに命を落とす子も珍しくなかった。労働で忙しい母親に離乳食を作るゆとりはなかった。

■授乳の役目
授乳を規則的にするという風習はなかったが、「泣けば飲ます」ほどの自由も母親に与えられてはいなかった。第一に、母親の労働、第二に子どもの要求だった。不規則な授乳は、子どもの消化器に負担がかかるため「下痢や腸炎」になって、命を落とす子も多かった。

日本では離乳は遅く、後の子が生まれるまで2〜3年飲ませるという風習があった。それは、栄養を与える以外の役割が授乳に課せられていた。後の子が生まれにくくするという避妊目的がその1つ。

また、学童になるころまでは、母乳が出ななっても、慰めのため母親の乳を吸いにくることが許されていた。いつでも好きなときに、なるべく長い期間子供に乳を飲ませてあげるのが、日本の風習における理想。だが、実際には忙しい中なかなか許される状況ではなかった母親の側からみれば、やりくりするのが難しいつかの間の楽しみでもあった。

さらに、授乳には子供を泣き止ませる手段といった役目があった。開放的な日本家屋にひしめきあって暮らす3世代家族では、「子どもは泣かさない」ことが重視される。そのため、授乳は栄養摂取の目的をすっかり失っても、泣きを制御するという役目を長期間にわたって負っていた。

 以上、品田知美著『<子育て>革命』中公新書より引用(文章の並びは編集しています)

つづく
 
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