採集・漁撈・狩猟から栽培・牧畜・遊牧へ
86599 ヤンガー・ドリアスの千年間が転換点か?
 
田中素 HP ( 39 長崎 企画 ) 05/03/02 AM00 【印刷用へ
> これは、同類闘争の潜在的な緊張圧力が働き始めたということ。但し、レヴァント地方はここ2〜3万年の中で植生が最も豊かな時期だったので、同類闘争(≒集団間の縄張り闘争)が顕在化することはなく、贈り物等を通じて友好関係を維持していたと考えられる。実現論1_8_01
(85264「1万2千〜1万1千年前、人口増加→同類闘争の潜在的な緊張圧力」)

43377でも紹介されていますが、レヴァント地方南部、死海に注ぐヨルダン川のほとりの平野(現在のエルサレムより北へ約10kmほど)に、イェリコという世界最古の都市と呼ばれる大規模集落跡があります。

ここは約1万1千年前頃に始まり紀元前後の鉄器時代まで続いたとされ、1万年前には1.6haほどの規模に拡大し、1000〜2000人の人々が住んでいたと推定されています。この頃既に、日干しレンガでつくられた小型円形住居群を石造の周壁で囲み、その近傍に直径約9mの望楼(塔)を持った都市的な集落を形成。生産様式としては農耕(小麦・大麦の栽培)と家畜(ヤギ)の存在が推察されています。リンク

イェリコからは、死海周辺の塩、シナイ半島のトルコ石、紅海の宝貝、アナトリア高原(トルコ)の黒曜石などが出土しており、かなり広範囲にわたる地域との交流があったことが窺えます。

周壁や塔の意味については諸説ある(43377)ようですが、この人口規模は部族あるいは部族連合と言える段階まで集団規模が拡大していたことを示しています。そして、多くの贈与or交易の痕跡からも、周辺地域との間で同類闘争の緊張圧力が相当高まっていたのは間違いありません。

この大集落をどう見るかですが、気になるのは、この集落の成立・拡大とヤンガー・ドリアス期の急激な気候変動(寒の戻りと乾燥化)によってレヴァント地方南部の採集部族たちが南部の遺跡を縮小・放棄し周辺ステップ地帯へ拡散(85771)していったのとがほぼ同時期である点です。

もしも、イェリコの巨大人口を擁する周壁や望楼が同類闘争圧力に対応するものだとしたら、それまでに相当激しい争いを実際に経験したことを意味し、ヤンガー・ドリアス期の1000年の間に、気候変動に伴う大規模な人口移動を契機にして、牧畜・遊牧という生産様式、部族連合、そして部族間の同類闘争が一気に成立・顕在化した可能性が出てきます。
 
List
  この記事は 85264 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_86599

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp