日本人の起源(縄文・弥生・大和)
40430 玉突き私権闘争に巻き込まれた江南人
 
岡本誠 ( 49 経営管理 ) 02/09/20 AM04 【印刷用へ
 弥生時代の渡来人は、江南地方と朝鮮半島からきているが(日本における彼らの影響度は別途検証が必要)、彼らも元々大陸において、モンゴル遊牧民の侵略によって玉突き的に私権闘争に巻き込まれた部族と考えられます(井上氏40135参照)。彼らの史実を追ってみたいと思います。

 大陸には、中央アジアにモンゴル遊牧民、黄河流域に畑作と牧畜を主とする漢民族、満州からソ連沿海州の広大な森林地帯にツングース系の狩猟・漁労・採集民(以上は北方モンゴロイドが分派したもの)、そして長江流域に稲作を主とする南方モンゴロイドが分布していたと概観できます。

 まず長江流域について。
 稲作の起源は、1万2000〜1万4000年前の長江中流域とされており、中・下流域から最近相次いで遺跡が発掘されている。代表的なものに、7200年前の家姆渡(カボト)遺跡(下流)、6400年前の城頭山(ジョウトウザン)遺跡(中流)、5300年前の良渚(リョウショ)遺跡(下流)、同時期の石家河(セッカガ)遺跡(中流)がある。

 5000年前前後から、遺跡の周りが濠で囲まれ城壁を持つ都市遺跡に変わっており(メソポタミアやエジプトも5000年前)、侵略闘争の勃発を示唆しています。その最古のものが城頭山遺跡で、遺跡が始まって1200年後の5200年前には、城壁で囲まれた王宮や祭政殿、大きな環濠と灌漑施設の存在が確認されており、王権(のようなもの)の誕生を伺わせます。

 ここに住んでいたのは現在雲南省や貴州省にいる苗(ミャオ)族の祖先と考えられており、彼らの神話に「北方からやってきた黄帝(中国古代の伝説上の帝王)と戦い、祖先はみんな首をはねられた。その赤い血がフウの木の赤い葉になった(フウの木は神殿の列柱に使われ苗族は生命樹として崇拝している)」がある。彼らは北方の黄河文明の侵略に対抗して武装化したが滅ぼされ、難民として雲南や貴州の奥地に逃げ込んだ可能性が高い。

 その後に興る良渚や石家河は急激に巨大都市化し、水田稲作が始まるのもこの頃で長江の最盛期を形成する。良渚の龍の姿をモチーフにした玉や、四角い区画を作って水田栽培をするという俯瞰の発想、巨大な都市建設は強力な王権による搾取によって可能になることなどから、先住民である稲作漁労民だけで作ったものではなく、北方の遊牧or牧畜民の影響下(支配下?)にあった可能性が高い。

 中流域の石家河の祖先は三苗(サンビョウ)という複合民族で、司馬遷の『史記』には三苗と伝説上の帝が激しく争い、三苗を西方の辺境へ放逐した様子が描かれている。ここも黄河勢力に滅ぼされた可能性が高く、石家河遺跡の晩期になると、黄河文明の要素が急激に増えるらしく『史記』の記述と一致する。

 4000年前良渚遺跡が終焉を迎え、人口が激減し長江文明は急速に衰退していく(世界的な寒冷化が原因とされ、三内丸山遺跡もこの頃消滅している)。代わって黄河文明が勃興し、殷王朝、周王朝、春秋戦国時代、秦の全国統一と、以降黄河優位(南は被支配)は不動のものとなる。
(参考:文藝春秋2002年4月号『世界最古「長江文明」発掘記』)

 三ヶ本氏が紹介されていた雲南の少数民族も(40053)、このようにして長江流域から難民化したものと考えられます(春秋戦国時代、日本列島へ漂着した江南人も同様)。父系氏族集団の支配階級に対して、本源集団単位で徴税義務を負い母系集団婚を維持していた江南人も、次第に性闘争・私権闘争に染まっていき妻問婚(母系氏族を生活拠点とする母系制的対偶婚)に転換したものと考えられます。
 
 
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