農村を活性化させる為には?
372172 江戸時代の農業の変化は市場経済への参入と技術の高度化、さらにそれを背景にした小農世帯の成立にある。
 
田野健 HP ( 61 設計業 ) 21/11/07 PM11 【印刷用へ
現代は4人家族、5人家族といえば当たり前だが、この核家族という構成は江戸時代の小農世帯から始まっている。それまでは農業はムラ、大きな集団で協働で行うものだったが、江戸時代の徳川幕府による農地拡大政策の浸透、さらに農業が市場経済へ踏み込んでいく中、集団も又それまでの大規模から小規模へ、農業技術も品種改良や農業全書の普及から広く一般的に定着していった。

著書「文明としての江戸システム」の中に小農世帯の成立という記述があり、この時代の史実として紹介しておきたい。江戸の農業とは高度化ー市場化ー都市化への流れの中にあった。

>諏訪郡の平均世帯規模は1700年には13人を超えたが、1750年には平均5人へと変化している。その後世帯規模は1850年代まで平均で4人〜5人の間を推移している。
重要なことは世帯規模が縮小しただけではなく4人〜5人からなる世帯の集中が見られた事である。これは市場経済化の浸透に伴って隷属労働者を抱えたり、傍系親族を同居させるなどして大規模な経営をおこなうよりも,直系家族からなる世帯を経営単位とする、労働集約的な小家族経営が有利と判断されたためである。
畿内先進地帯では17世紀初期にすでに農家世帯の人員が小規模になっていったようであるが、同じ時代に九州や信州ではまだ大規模な世帯と不均等な世帯規模の分布が残っていた。こうした事例から農業世帯の構造変化は市場経済の進展にともなって、ゆっくりと全国へ拡大していったものと想像される。

16世紀から17世紀が大開梱時代であったとしても、人口は同時代のイングランドに匹敵するか、それ以上の勢いで増加していった。17世紀を通じて人口1人あたりの耕地面積はほとんど半分に狭まっていく。狭小になっていく耕地で、より多くの生産を上げようとすれば、土地生産性を引き上げていくしかない。アダム・スミスは「国富論」のなかで、ローマの奴隷労働を引き合いにだして、作ったものが自分のものにならない立場の労働力は、勤勉に働かないので結局のところ最も高価なものだ。と述べている。17世紀の日本でも、土地生産性を上げようとするならば、隷属農民を使用するよりも、時間を惜しまず勤勉に働く家族労働者の方が適している、という現実があったと考えられる。当時の農業経営者達は経験を通してそれを知ったのであろう。

この家族労働主体の小農労働力主体の小農経営は、人口成長にどのように影響を与えたであろうか。16から17世紀になると、全国的に都市が発展し、茶、綿、煙草などの新しい作物が全国的に普及していく。食料や工業原材料への需要を増大させる。これに応えて、新田開発が盛んに行われ、隷属農民や跡継ぎになれなかった子供たちが独立して農業を営んでいく契機になった。都市が増え続ける人口を吸収し、成長。その結果結婚して独立して家族形成を行うことが容易になっていく。可能でありさえすれば殆どの男女が結婚して子供を持つという伝統が形つくられていったのである。同時に持続可能な人口成長が始まった。
 
 
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