生物の起源と歴史
346099 根を切るともっと根が出る仕組みを解明
 
岸良造 ( 66 技術者 ) 19/05/21 PM11 【印刷用へ
自然界は、相似形で構成されていると言われている。日本の盆栽は10mの大木を0.1%に縮小する(自然の木々をミニチア版にする)のであるが、どんな原理で創れるのか?
不思議に思っていた。そのメカニズムが解明された。

>植物にとって根の傷害は脱水という形で直ちに地上部に影響してしまう緊急事態であり、根を切られた植物はできるだけ早く根を再生しようとする性質があります。
>たとえば日本伝統の園芸芸術、盆栽作りでは慎重に根の剪定(根切り)を行います。
>根切りされた植物は、水や養分を効率よく吸収できる若い根を限られた空間(鉢)で再生することで、健全かつ小さな植物である盆栽になります。

緊急事態に対応する為に遺伝子情報を制御し、外部環境に適応するのが生命体なのであろう。

「根を切るともっと根が出る仕組みを解明  やっぱり植物はたくましい!」
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【植物のたくましさ】
「雑草は切っても切っても生えてくる」ということはひとつの植物のたくましさでしょう。これは頂芽優性と呼ばれる現象で、一番先端にある茎頂を失うと、その下で休眠している腋の茎頂が発達を開始し、新しい芽や葉が生えてくるのです。
また根が切断されても枯死する前に植物体が根を急速に再生させ、その場で固着生活を継続させる。

前述の頂芽優性については 近年、頂芽優性を制御しているのはストリゴラクトンという新しい植物ホルモンだということもわかってきました。
一方、切断された根がいかに再生してくるのかということについてはあまり研究がありませんでした。

私たちはこの問題に取り組み、傷害による植物根の再生過程に関わる因子が植物ホルモンのオーキシンであること、オーキシン合成の誘導、さらにオーキシンの極性輸送によって植物の根は再生することを明らかにしました。

シロイヌナズナはシャーレの寒天培地中で、生育させることができるモデル植物です。
ある日、根を途中で切断したシロイヌナズナを観察していました。そのシロイヌナズナは突然変異体で主根は伸びるけれども側根は出てこないはずだったのですが、あろうことか側根がフサフサと野生型と同じぐらい出ていたのです。

使った突然変異体はオーキシン信号伝達経路に異常があるmsg2/iaa19という変異体だったのですが、同様の経路に異常がある変異体で試験しても、本来、側根が出ないはずなのに側根が出てくるものがありました。
そこで慎重に無傷コントロールと根切りした野生型植物を4日後に比較すると、わずかですが確かに側根が増えていることがわかりました。

さらに興味深いことに、切断した植物の側根はコントロールより長い、つまり成長が早いということもわかりました。
根の総延長を測定するとコントロールと根切りした植物はなんと同じだったのです。
地上部と根の量は植物種で一定であるというshoot-root-ratioという現象が古くから知られています。もしかしたら根切りした植物は根の成長を促進させて、shoot-root-ratioを回復させているのかもしれません。側根数が増える現象をRoot-Cutting induced lateral root Number (RCN)と呼び、側根の成長を促進する現象をRoot-Cutting induced lateral root Growth (RCG)と名付けました。今回の論文発表では側根数が増えるRCNについてそのメカニズムを明らかにしました。

【エビデンスから仮説を立て、実験による検証を行う】
自発的な側根の形成にはオーキシンが重要な働きを持っていることが詳しく判っているので、私たちは根の再生にオーキシンがどのように関わっているのか? というアプローチを行いました。

(中略)

根切りがYUCCA9遺伝子を誘導することで、根のオーキシン量を増やしていると予想されました。
根のオーキシン量を測定したところ、根切りによって実際に増加していること、yucca9変異体ではそのような増加は見られないことを確認し、YUCCA9遺伝子が根切り応答に必要な遺伝子であるということが明らかになりました。

一方、オーキシン合成を阻害する試薬、YUCASINとNPAを同時投与すると側根はまったくできないどころか、根切りでも側根の発生は抑制されました。さらにオーキシンの極性輸送に関する変異体にYUCASINを投与すると、野生型より顕著に側根が減少すること、根切りによってオーキシンの極性輸送体遺伝子の発現は上昇することから、根切りによるRCNにはオーキシン合成の促進と同時に極性輸送が必要であると結論付けられました。
(後略)
 
 
 
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