生物の起源と歴史
305379 性と雌雄分化から見た生物史
 
土山惣一郎 15/06/28 PM07 【印刷用へ
 性と生殖は〜@原核単細胞の性→A真核単細胞の性→B多細胞の性〜に分類できると思われるので、以下その時代順に記述していく。

1.原核単細胞時代(40〜15億年前)
・原核単細胞には、古細菌と真正細菌の2系統があるが、DNAは剥き出しの状態。DNAをなぜ格納しなかったのかは、最近の定説によると、分裂するのが最大の闘争課題で、そのためにはシンプルである必要があったからだと言われている。また、種の概念が成立する以前の生物であり、DNAが種を越えてやり取りされていたのも大きな理由のひとつらしい。
・危機に瀕した際のDNAの交換は、バイオフィルム状の階層空間を利用したプラスミドの相互交換が中心。さらに、超寒冷期などの最悪の状況下では接合して、相互に相手のDNAを利用し合うケースも稀にあったらしい。それが後のボルボックスなどの群体に進化していったと考えられている。
・真正細菌も古細菌も、本格的な性はまだ持っていないし、大きさ自体が非常に小さく、形態的な分化の限界もあった。そのため、学術的には長年無視されてきたが、最近のDNA解析の技術で、中間種でありながら生殖可能なタイプが次々と発見されてきており、種の区分が不明瞭な点は証明が進んできている。

2.真核単細胞時代(15〜6億年前)
・約10億年前には繊毛虫類が登場。当時から遅くとも2億5000年前までには現在と同じ構造のゾウリムシに進化したらしく、代謝核としての「大核」と生殖核としての「小核」を持っている。性の起源として以前から注目されていた。
・この2核の分化が運動と生殖の分化であり、生活環と同型配偶子生殖の起源だと言われている。
・多細胞生物の初期段階あるいは高度な群体とも言えるカイメンも約10億年前に登場したが、カイメンの機構は襟細胞との近似性が高い。また、同型配偶子を活用した生殖を行っている。
・真核単細胞生物の性は、原核単細胞生物と真核多細胞生物の中間に位置し、雌雄分化の前段階の殖産分化のステップと思われる現象が多々観察されている。実は、真核単細胞生物の系統的解析は、最近の分子生物学の成果が活用され始めてからまだあまり期日が経っていないため、かつての分類自体が見直されてきているが、あと4〜5年程度で原生動物の全貌がわかると推測されている。
・他にも、真核単細胞生物には多様な性現象を有したものが多く、原生生物の研究は、マーグリス以降、非常に活発になってきた。その影響もあって、現在の最先端では、多細胞動物の起源は何かという視点での系統研究も行われている。

3.多細胞生物(6億年前〜現代)
・種の概念がほぼそのまま適用できるようになったのが、多細胞生物時代以降。雌雄分化の“本丸”もこの時代の産物である。
・8〜6億年前のスノーボールアースの直後に、エディアカラ動物群→バージェス動物群が海中で適応放散する。脊椎動物の祖先とも言われる脊索動物も5.3億年前には登場した。その後、動物の地上進出は約4億年前頃になる。
・多細胞生物と群体の線引きは曖昧だが、原生生物段階がゾウリムシの「大核」「小核」などの殖産分化だとすると、異型配偶子の登場=精卵分化が多細胞生物の段階になる。
・精卵分化の次のステップが躯体分化だが、肢体の差が明瞭に現れるのは、節足動物系では4.3億年前の昆虫類の登場、脊椎動物への系譜では初期両生類が登場する3.8億年前頃になる。どちらの系譜も、体格などの差が明瞭に現れてきた時代である。
・雌雄分化は性染色体によるものと人間は考えてがちだが、正確には性染色体で性別が固定されるのは、哺乳類と鳥類だけ。爬虫類以前は、環境要因によってオスメスが決まるため、中には成熟してから性転換する種もいる。
・植物は動物よりも少し早く地上に進出したが、オゾン層が形成されたのが5億年前で、その直後から4.5億年前頃までには、コケやシダの他、地衣類(菌類にクロロフィル保有生物が2次共生した共生体)が上陸し、地上進出の最初の段階から雌雄分化が行われていたらしい。ただし、植物は重力に抗して上に伸びていくのが最大外圧なので、餌の取り合いが厳しかった動物に比較すると、雌雄分化の必然性はやや弱い可能性は残っている。

★雌雄分化のポイントは、やはりDNAの多様性の獲得と、オスメスの役割分化(≒躯体の形態の変化)が重要である。その点では、DNAの多様性の獲得は、原核生物時代から徐々に進んできており、真核単細胞時代にほぼ完成したと言えるが、オスメスの役割分化と形態的変化については、まだ3〜4億年しか経っていない。このあたりは、次回までに考察しておきたい。
 
 
  この記事は 304951 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_305379

 この記事に対する返信とトラックバック
性の進化史1〜性と雌雄分化から見た生物史 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 18/08/09 AM00
305827 単細胞生物と多細胞生物という分類の不整合点 本田真吾 15/07/11 AM11
305633 可能性収束とスピードという視点から見た生物史 土山惣一郎 15/07/06 PM00

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
本能と観念の中間領域とは霊長類の世界では?
哺乳類の性闘争本能
ゴリラ、テナガザル、オランウータンと人類
『性闘争本能から縄張り闘争へ』
原猿における共感機能の進化の流れ
原猿のメスについて
原猿の縄張り闘争と子供の集団への残留
哺乳類のオスメスの庇護依存関係と原猿の雌雄共認との違い
原猿→真猿→人類のメスの共認回路@
原猿→真猿→人類のメスの共認回路A
真猿の同類闘争と共認機能
縄張り闘争と同類闘争
同類闘争の安定化と衰弱の一般則
農業・百姓を通して見た現代人−A
チンパンジー
種間闘争→大型化の矛盾と特殊解
サル時代の婚姻様式
特殊解としての大型化→性闘争→子殺し
チンパンジーの娘移籍に関する仮説
共認回路と自我回路
力の論理と共認機能
自我の源泉は、共認の部分否定にある
序列闘争は、共認されている
原猿類の生態(資料です)
驚くほど人間っぽい
原哺乳類と原猿の進化について@
真猿の進化史
アジアにおける原猿〜真猿への進化(3)
親和・性充足の強化による秩序維持の例
相手と自分を同一視する潜在思念

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp