生物の起源と歴史
296598 細菌は、種という概念で捉えられる生物以前の存在である
 
本田真吾 HP ( 壮年 建築家 ) 14/10/15 AM01 【印刷用へ
生物進化の根元にあり、始原生物に近く、現在も生息している耐熱菌。この遺伝子は、もう少し進化した大腸菌などの遺伝子に比べて、半分以下の小さなものである。そして、そのほとんど(92%)が現在も設計図として機能している。これは、その後進化する、大腸菌などの遺伝子が、普段は使用しない遺伝子をたくさん持っているのと大きく異なる。

では、なぜ進化するにつれて、普段は使用しない遺伝子をたくさん持つようになったのか?

それは、外圧適応のために、変異要素としての遺伝子を、他集団と共有してきたからである。この遺伝子の代表は、プラスミド(やファージ)と呼ばれ、細菌の分裂増殖を担う染色体遺伝子とは別れて存在する。また、そのサイズも染色体遺伝子よりかなり小さい。

そして、プラスミド等の中の遺伝子は、他集団と交換したり、環境水中に溶存態の断片DNAを利用したりして、異なる細菌集団間での共有している。そしてただ共有するためではなく、プラスミド(やファージ)には、その中に格納された、共有遺伝子を、効果的に本体染色体に組み込む機能を持っている。

>染色体DNA 上のファージ配列をよく見るとファージDNA の両端に短い共通のコア配列があることが明らかになっていた.単独のファージ粒子から得たDNA にもまったく同じコア配列が見い出される.しかもそのコア配列の近くに組換え酵素遺伝子が必ず見つかる.プラスミド、ファージ、Tn の動く遺伝子は、どれもこの組換え酵素遺伝子とコア配列のセットを持っており、これら組換え酵素遺伝子はそれぞれ、recombinase、 integrase、transposase とよばれている(図の左パネル).これらの酵素は配列は異なるが、どれもDNA 断片を組み換える機能をもっている.(リンク

つまり、プラスミドは、主にさまざまな環境適応能力を記憶した遺伝子で、これにより、細菌は過去の環境適応の成果を共有して、他集団も含めた細菌全体で環境適応度を高めているともいえる。

こうなると様々な種類の細菌は、集団を超えて適応遺伝子を共有しているため、種という概念でくくることに意味がなくなる。なぜならば、種という概念は、雌雄分化した生物を前提とした生殖可能な集団という定義であり、その目的は、遺伝子交換によって同類他者を生み出すということだからである。

また、哺乳類が環境適応のために遺伝子の変異を起こす時間は何百万年、昆虫では数年かかるのに対して、細菌では日単位で遺伝子変異を起こすことが可能だ。これも、環境適応遺伝子を、細菌集団間で共有してきた結果といえる。

つまり、細菌は、種という概念で捉えられる以前の生物であり、その後進化した真核細胞生物や多細胞生物に比べ、環境変化に対する適応力が極めて強いという特徴を持つ。そして、これが、細菌を敵視して、薬剤などでいくら殲滅させようとしても、すぐにその耐性を持つ菌が現れ、制御不能になる理由だということがわかる。

今後、細菌を考える上では、種という概念で捉えられる生物以前の存在であり、彼らはすぐさま環境適応していくという認識が必要になってくる。
 
 
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