原始共同体社会
29278 捧げものが同類闘争圧力により変質したものがポトラッチ
 
岡本誠 ( 48 経営管理 ) 02/04/24 AM00 【印刷用へ
 ポトラッチは、縄文人の贈与や弥生の銅鐸を考える上でヒントになりそうです。ただこれまで言われているように、ポトラッチ自体の目的や在り方も地域や時代によって変化してきており、観察者によっても解釈が様々です。「自己の名誉と威信を高めるための贈答説」、「富の集中を防ぐための分配制度説」、「酋長が成員の尊敬を高め結束を強めるための分配制度説」、「余剰物を無くすためのもてなし説」、「複雑で高度な一種の交換経済説」、「一種の闘争回避説」など。

 ポトラッチの起源が原始にまでさかのぼるなら、神々や精霊への捧げものが原初の姿だったと思われます。何より精霊との期待・応望関係こそが最先端の課題だったはずで、獲物や生殖の恵みを祈って捧げものをし、そして同時に集団の共食の祭りを伴っていったと想定されます。捧げること(=人間は消費しない、使わないこと)が、次第に貴重品の投棄や破壊という行為につながり、共食の祭りが一種の分配制度のように機能していったと考えられます。

 何より決定的なのは同類闘争圧力の高まりであり、これに対する解決策としてこの制度が利用され変質していったと思われます。当初は友好関係維持のための贈与だったものが(精霊への捧げものや同朋間の助け合いが同類他者への贈与へと応用された)、次第に自我・私益意識の増大につれて、しかし武力による殺し合いを回避する方法として、競争的な「浪費・贈答・破壊」合戦へとエスカレートしていった。いわば武力を用いないで相手を倒す戦いへと変質していった。西洋人によって観察される頃には、すでに貴族・平民・奴隷からなる階層社会を形成しているが、一気に略奪闘争→武力支配国家へと進展するのを押しとどめていたのが、この原始の風習の名残を残すポトラッチだったのではないでしょうか。
 
 
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