脳回路と駆動物質
278918 ノンレム睡眠は「脳を休める睡眠」という定説が覆され始めた
 
13/07/13 AM08 【印刷用へ
従来の研究では、起きている時と同じくらい脳が活性化し、夢を見ることが多いレム睡眠が記憶の形成に関与していると考えられ、脳の活動が弱くなっているノンレム睡眠は、あくまで脳の睡眠と位置づけられていました。
しかし、ここ最近の研究によって、「ノンレム睡眠=脳の睡眠」という定説が覆されています。

2006年、MITのマシュー・ウィルソン教授の研究によれば、ノンレム睡眠の中で最も深い眠りにあたる徐波睡眠時に、海馬と新皮質の感覚野が同時に発火し、記憶の整理を行っていることがわかりました。
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ラットを使った実験によると、ラットがある場所に移動した際に、脳内の特定のニューロンが発火するしくみがあることがわかっています。

ある場所Aに移動した場合、ある特定のニューロンAが発火し、ある場所Bに移動した場合、ある特定のニューロンBが発火します。したがって、研究者はネズミを見ていなくても、海馬から記録されるニューロンの電気信号をモニターで見ているだけでネズミがどこをどう歩いているかわかるのです。

研究結果によると、ラットが昼間に「A→B→C→D」という場所を移動した後に、その日のノンレム睡眠時に、海馬のC3野と新皮質の視覚野の2つの領域で、ほぼ同時に電気活動が活性化し、昼間の出来事をおさらいしていることがわかりました。
その電気活動は昼間の進行とは逆順の「D→C→B→A」で発火し、しかも、100倍ものスピードで再現されていることもわかりました。
また、新皮質の中の早戻しが、海馬の中での対応より若干早く、断片的に起こる傾向があるため、新皮質と海馬の対話は、おそらく新皮質によって開始されていると推測されます。

脳の研究者は、長い間、感覚野から入力された外部情報は大脳前頭連合野で短期的に保管し、その後海馬に蓄えられた後に、長期保管のために新皮質に情報を移していると考えてきました(266765)。
この実験によって、実際に海馬のC3野で蓄えられた情報が、新皮質の感覚野の発火が起点となり、高速再現活動を行うことで、新皮質に情報を移動させ、記憶を定着させていることがわかりました。

ウィルソン氏は、この再現過程は単に記憶が転送されるだけではなく、新皮質が海馬から選択された情報を学んでいると考え、より洗練されたデータ処理だと述べています。

つまり、ノンレム睡眠とは、単に「脳を休めている睡眠」ではなく、「記憶を精査・定着させている睡眠」であると考えられます。
 
 
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