民主主義と市民運動の正体
250473 放射線被爆とがんの関係〜肺がん〜
 
太刀川省治 ( 51 建築士 ) 11/04/28 PM03 【印刷用へ
肺がんとの関係についても言及されている。
肺がんの直接的原因は過去の核実験等により飛散した大気中のプルトニウムと胸部検診であり、タバコやディーゼル排気による気道損傷は大気中のプルトニウムを沈着させる間接的要因でしかないようだ。

引き続き「検診と放射線」(リンク)から転載します。
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  肺がんの増えた地域

 大気圏内での核実験がほとんど北半球の中緯度地帯で行われ、生成された放射性物質が偏西風にのって拡散したので肺がん増加もこの地域に多い。中国・ソヴィエトによる天山山脈セミパラチェンスクでの核実験は西側にある日本で白血病・肺がんを増やしている。

 大気圏内核実験による肺がん増加は1970年には始まっているが、当時のわが国での年間肺がん死亡数は1万人である。これが1980年には2万人を超え、1998年には5万人超えている.1980年~2002年には肺がん死合計85万人を超えるので1970年の1万人を基準にして60万人余分になる。この日本の肺がん過剰死亡者の半数が核実験によるものとすると30万人となるが、核実験の被害は60年以上続くので、今も死亡数は増え続けている。地中海に面したスペイン・フランスなどで肺がんが増えているのは、サハラ砂漠での核実験による影響などが考えられる。

 また、チェリノブイリの原子力発電所の事故では周辺諸国の白血病・肺がんの増加が今も続いている。これに反し、北欧諸国や南半球のオーストラリア・ニュージランド・ペルーではあまり増えていない。詳しいことはCancer Mondialをみていただきたい。

  日本の肺がんの特徴

 大気圏内核実験は、北半球の中緯度地帯で行われた結果、日本でも、この地帯の多くの国と同じように1945年以降は肺がんの増加が起っている。1962〜1972年に大気中に含まれるプルトニウムの量がピークとなり、これに応じて肺がんが1995年にピークとなり、その後は減り始める国が多いのだが、日本ではこのあとも増加傾向 にある。

 白血病の増減には結核集団検診が関係していることを述べたが、胸部の被曝が白血病の増加を引き起こしているとなると、その後に肺がんの増加が続いて当然である。北半球中緯度地帯の多くの国では1993年には肺がんの増加が止まり、減り始めるのだが、日本では胸部検診の影響でその後も肺がんの増加が続き、2000年になってやっと減り気味になっている。

 1950~1970年の肺がん死亡増は年齢階層に関係なく、ほぼ同じ割合であり、高令者でも放射線被曝の危険は高いことを示している。


  肺がんと煙草

 平山雄氏が肺がんと煙草の関係を追求したコホート研究が行われたのは1955〜1983年であるが、この時期は大気圏内での核実験により放出されたストロンチウムが骨髄に取り込まれて白血病が増加し、同時に肺は大気中に増加したプルトニウムによる放射線で被曝して、肺がんが増加する原因となった時にあたっている。

 このあと世界の多くの国で1975年頃白血病のピークを迎え、1993年には肺がんもピークとなって、以後減少が続いている。CANCER MONDIALで20〜40才の年令調整白血病死亡率と45〜65才の年令調整肺がん死亡率の関係を追ってみると、白血病死亡率が10万人当り2.5以下にならないと肺がん死亡率が下がらない傾向がある。

 肺がんが煙草が原因で増えているとすると、肺がんに先立って白血病の増加が起っている原因を説明できにくい。1993年日本医師会雑誌に掲載された記事によると、米国では禁煙運動で肺がんが減少したが、日本では禁煙運動が不十分だから肺がんも減っていないことになっている。

 ところが、米国では禁煙運動が行われる以前から肺がんは日本に較べて増加率が低く、殊に45才以下では肺がんは早くから減少傾向にあるので、日本との比較対象にはならない。禁煙運動が始まるとすぐに効果があって肺がんが減るのも不思議である。45才以上では1925~1930年生まれの世代に肺がんのピークがあるが、兵役で原爆実験にかり出されたの原因かもしれない。
 
 喫煙者では気道上皮が損傷されており、大気に含まれるプルトニウム等を吸い込んでも排出する力が弱っているので、肺にプルトニウムが蓄積されることから、肺の被曝量が多くなり、肺がんが増える。ゴフマンによると米国では喫煙者は非喫煙者に較べて10倍の肺がん死が起っている。平山雄氏によると日本では喫煙者は非喫煙者に較べて5倍の肺がん死が起っている。

 この差が生じる原因としては、胸部検診によって非喫煙者の肺がんが倍に増えていることで説明がつく。つまり、右図では喫煙者での(肺がん10+検診による肺がん1) と非喫煙者の(肺がん1+検診による肺がん1)を比較しているので11対2になっている。なお非喫煙者では肺がん死が少ないので、検診の効果も少ない。今は40才以上で無差別に肺がん検診を行っているが、喫煙習慣により分別して行う必要がある。

 喫煙者で特に肺がんが増えるのは大気中の放射性プルトニウムが増えたのが原因ではあるが、これも今では1952〜1962年のピーク時に較べて50分の1に減っているので、喫煙によって肺に蓄積されるプルトニウムもかなり減少しており、肺がんになることも少ないので、禁煙の効果も少ないだろう。

 ディーゼルエンジンの排気ガスとか粉塵も喫煙と同様気道損傷を起こすので、肺にプルトニウムが沈着する原因となって肺がんを増やした時期はあったが、今では肺がんの増える原因にはなり難い。自動車が増えて国道周辺の排ガスが増えたのは大気中のプルトニウムが減った1970年以後であり、公害裁判でも肺がん増加が争点になっていないようである。

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 大気中の放射性物質濃度が低い時期に、喫煙とがんの発生と結びつけるのはおかしく、禁煙の効果はないとされています。
ただ、福島第一原発の事故で放射性物質が大量に放出されているとすると、喫煙者の肺がん発症率は幾分高くなるかもしれない。
 
 
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