日本人と縄文体質
240154 江戸時代の村落共同体のありよう(1)〜農民自治の広がり〜
 
佐藤祥司 ( 壮年 設計 ) 10/10/31 PM09 【印刷用へ
現在、ブログ「家庭を聖域にしてはいけない」で、江戸時代、特に1800年前後を境に農村まで含んだ庶民の間で寺子屋が急激に増えた、つまり、世界にも稀な「主体的な勉学」への意識が高まったのはなぜか?を追求しています。

追求していく過程で、江戸時代の特殊性として、江戸幕府260年余りに渡る安定政権の中で、農民の安定期待は充足し、自主的な集団自治が確立していったという背景があると思われます。(参考:安定期待⇒秩序収束⇒規範共認:『10/17なんでや劇場(3) 武力時代の東洋の共同体質⇒秩序収束⇒規範収束』(239606))

そこで、もう少し江戸時代の農村自治の中身を詳しく調べてみました。
以下は「百姓の力――江戸時代から見える日本」(渡辺尚志:著)を参考にまとめたものです。
この本の著者は江戸時代に多く残る古文書を読み解き細部に亘る農民の生活風景を明らかにしており、学校の歴史で習うような貧困に窮し、支配されているというイメージを一新し、実は農民は自分達が生きる村を自分達の手で自在に発展させ、充足たっぷりに生きてきたということが伺えるものでした。

■土地は村が所有していた
江戸時代は、土地は検地帳に登録された百姓(名請人)の名義になったのですが、それによって個人の私有地になったわけではなく、村が所有していたとのことです。その事例が以下の4点。
@割地: 土地の所在による不公平(日当たり、洪水などの危険度など)が生じないように、何年かに1度、定期的に、くじ引きなどによって所有地を交換する取り決め。
A無年季的質地請戻し慣行:質に入れた土地を無期限、無利息で請戻しされる慣行で、何年、何十年(時には100年以上の記録あり)経とうと、元金だけ返せば土地を取り戻せるというもの。村人の没落を防止するための村毎にきめられていた。
B村議定での取り決め:村人が他村の者に質入れ、売却、譲渡を禁止する。質入れしたい村人に、取引相手の斡旋をしたり、村がお金を出して土地を質に取るなど、村人の援助措置などが決められていた。
C都市への移住などの場合は村に土地を返却することを定めている。

■村の自主性を育んだ「村普請」
「年貢割付状」は村単位に宛てたもので、村全体の納入額と割付の原則を示すだけで、あとの個別の割当・徴収は、すべて村に任せてあった。

年貢は領主が一方的に決めて百姓から有無を言わさず搾取するというものではなく、領主が提示した額を百姓が了承して請け負うという形を取っていた。もし納得できなければ、百姓側は異議申し立てを行うこともできた。

さらに、年貢を徴収する前提として、領主には一定の責務が求められた。大河川の治水工事など農業基盤の整備に努めたり、不作のときには困窮百姓に米や金を支給して助けたりした。(「お救い」)もちろん、武力を背景に平和を維持することも領主の責務。領主は百姓に「仁政」を施し、「百姓成立」を支えるべき責任を負うという役割分担の上に成り立っていた。

そのため、領主は年貢の賦課・徴収など煩雑な実務の多くを村に任せ、居ながらにして年貢を受け取ることができた。その代わり、村は領主の関知しえない固有の領域を確保することが可能だった。
 
 
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