日本人の起源(縄文・弥生・大和)
230729 国家と海洋民の通史(2)〜中世は海の勢力の興隆期
 
田野健 HP ( 49 設計業 ) 10/04/26 AM11 【印刷用へ
(前投稿からの続き)

>しかし律令制度自体が怪しくなりはじめる8世紀はいると陸上中心の交通制度の無理がいちはやく表面化し、8世紀後半には川と海の交通が公的に認められはじめます。

8世紀末には陸上の道はだんだん荒れて、道の幅が狭くなり、部分的には使いものにならなくなってくることが、考古学の発掘によって確認されています。

9世紀にはふたたび海と川の交通が交通体系の主軸になっていきます。
この9世紀には国家と中国大陸の交流がそれまで行われてきた遣唐使による交流が間遠になりますが、むしろ国家とかかわらない列島と大陸、半島の交流がふたたび表に出てきます。新羅と肥前の豪族が協力して武器をつくり、対馬を支配下に入れようとする動きがおこっています。

10世紀にかけてはさらに情勢が変わっていきます。10世紀には短期間とはいえ関東八カ国と伊豆を基盤に、太平洋の海の交通を前提にした平将門の王国、東国国家が誕生します。また西国の瀬戸内海を中心とする「海賊」といわれた海の領主たちの活発な活動の中で、藤原純友がやはり王朝から自立した動きを展開します。
受領の誕生により中央の力が落ちると保護制度の廃止もあいまって鋳物や他の手工業に代表されるように職能民集団が自前で組織化されるようになります。

民間の社会の間での交流はこの時期活発になり、10世紀以降は支配者の意向にかかわらず、独自に商工業、流通、河海の交通を前提にして国家体制が成り立っていく事になります。
宋や高麗から商船が活発に日本列島に到来し、列島側の民間商人が中心となって交易活動が展開され、膨大な「唐物」が列島に流入してきます。
支配者はそれに依存するような形で唐物を入手していたのです。

11世紀に入ると「廻船」のシステムが登場します。とくに日本海の海上交通は非常に活発で、北からの船は敦賀に入って短い陸路を通って琵琶湖に入り、入京します。このルートは瀬戸内海から北九州に行く日本列島を横断する水の大動脈にもつながるわけです。
青森県の十三湊にはこの時期多くの中国製の青白磁が発掘されており、唐船が多く到着した北九州から青森県にかけての太平洋、日本海を通った廻船のルートはこの時期に確立されていたと推察されます。廻船のルートの確立は安定した交通の確保を前提としており、この時期に金融業者、商人のネットワークが形成され、国家の徴税、経済はそれに依存する形で成立していたものと思われます。

それら民間交易によってもたらされた12世紀から始まる中国大陸からの銭の流入は13世紀に入るといっそう大量になっていきます。商業、金融業がこの時期に確立されていきます。

〜参考:網野義彦氏「日本の歴史を読み直す」
 
 
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230734 国家と海洋民の通史(3)〜海の勢力と国家の関わり 田野健 10/04/26 PM02

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