学者とマスコミはグルで頭脳支配
208716 階級闘争とは無縁だった江戸社会(1)
 
田野健 HP ( 48 設計業 ) 09/06/13 PM01 【印刷用へ
縄文塾のメールマガジンに江戸の特集記事があったので転載しておきます。長期間の平和を維持する上で参勤交代が最大の根拠であるという視点が示されています。各藩には過大な支出をもたらしたその制度が同時に経済発展の牽引役を担っていたのではないでしょうか?さまざなま現代の原型となるような金融政策がこの時代に敷かれています。

この間のるいネットでの江戸追求の一助として参考にしてください。

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日本のマルキスト=コミュニストたちは、江戸時代を「暗黒の時代」とよび、武家階級や地主という不労所得者と過酷な租税搾取に泣く小作農の争いの代名詞として「百姓一揆」を挙げ、明治時代に至り「女工哀史」とか「蟹工船」など、過酷な労働条件の生む階級闘争の根源であったとばかり誇張し喧伝してきた。

では実際に江戸時代は、彼らが言うように「暗黒時代」であったか?

江戸時代は、豊臣氏を倒して天下を統一した徳川という独裁者によって採用された、世界でも例を見ない「中央集権と諸般割拠の封建制度のハイブリッド」的制度によって、世界でも類を見ない二六〇年という長期間の平和をを維持するものであった。

このシステムは、強藩の離反を防止するのに効果があった参勤交代という特異な統治政策によって、平和が保たれた反面諸藩にとって過大な支出が強いられた点と、各藩の禄高や地力・地形・地域性の偏りなどから、必然的に富裕な藩と貧しい藩に分かれていったことは認めねばならない。

当時の武家階級の報酬は、禄高=石(こく)というコメの量単位であったこともあり、その一方で、長らく続いた領地争いがおさまって平和になったことから、コメの収量も安定し、時代に人口も増大していった。

そうした状況に応じて、各藩では新田の開発・溜め池・用水路・護岸整備なども進めていくことになった。もっとも各藩ともその財政の大部分をコメの収量に頼ってきたところから、コミュニストたちは、飢饉時の惨状と過酷な租税取り立てを、無理矢理に結びつけてきたきらいがある。

しかし江戸時代こそ、武家階級が支配するコメ基調の重農主義社会とは言われながらも、実際には当時──黄金の国ジパングと言われたように──金・銀・銅が豊富に産出したこともあって、次第に貨幣価値を基調とした新興勢力である町民による、商工社会への移行期でもあった。

従って現在の資本主義社会と同じく、好調期においてインフレ傾向になると、(金融)引き締め金融政策が採られ、逆にその逆の政策も行われてきた。

例えば江戸前期の黄金期である「元禄時代 1688年から1703年」」の放漫経営を緊縮したのが、徳川吉宗(1684年〜1751年)による「享保の改革」であり、中期幕府が重商主義を採用した明和から天明地代(1767〜1786)の中心人物田沼意次であり、それが天明の大飢饉によって行き詰まった時、それを改革したのが老中松平定信の「寛政の改革」である。

以上に加え、同じく寒冷化による大飢饉に見舞われた天保年間時の幕府および諸藩の対応=「天保の改革」と併せて江戸の3大改革というのだが、では江戸時代の日本を通じて、ヨーロッパにおけるほど厳しい階級制度間の闘争があったかのだろうか。

前述のごとく彼らコミュニストの謂う過酷な圧制下で、二六〇年に及ぶ平和な時代で、しかも人口が増え続けることが可能であるはずない。昨今あらためて「江戸=徳川」という平和の時代を見直そうという機運がたかまり、日本における上記のような悲劇は、そのほとんどが寒冷化の生んだ飢饉の産物であることが明らかになり、コミュニストたちの唱えた虚構が次々と崩壊していったのである。

(続く)
 
 
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