素人による創造
207956 受け入れ体質の日本が持つ最大の武器とは!
 
田野健 HP ( 48 設計業 ) 09/06/02 AM09 【印刷用へ
先に上げた西尾幹二氏は著書「国民の歴史」の中で中国と日本のその後の文明観の相克を以下のようにまとめられている。中国から文明を輸入しながら、その後日本はなぜ中国と異なる国家になっていったのか伺える内容となっているので紹介しておきたい。

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私は中国の皇帝制度とは異なり、日本の天皇制が具体的な政治権力からある程度距離を持つという性格、ないしは祭祀的役割を最初の形態においてすでに有していた事は、やがて始まる日本史の権力と権威の分立体制を先取りしていたと解し、むしろ積極性をそこにみる。12世紀の鎌倉幕府の成立以来、権威の中心としての朝廷と、実際政治の権力の中心としての幕府を共存させる日本型「政教分離」の知恵を早々に展開していたことを、原始的とか未成熟と呼ぶ気になれない。
これは明治維新にも、今次大戦の敗北の際にもうまく機能した世界に例のないきわめて高度で先見性のある”文明の知恵”の遺産であるといっていい。むしろ古代から現代まで一貫して変わらない皇帝絶対化へ一元化した体制の中国には、感嘆するというよりもむしろあやうくきわどく、不吉なものすら感じないではいられないものがあるからだ。

われわれは古代中国を、日本の歴史とは完全に異質な他なるものとして認識することを学ばねばならない。古代中国が成したローマ法をも超える律の緻密さは民族を超える普遍性をもっており、偉大な遺産であることは疑いがない。しかし、そうした高度文明を日本は結局は十分に学ぶ事を”あえて”しなかったそこにはひとつの本能的な意思があったのではないだろうか?学ぼうとして自国流に書き直し、お手本と自作とのずれに悩みながら、あえて時間の流れのなかで自国の現実を尊重し、お手本に不忠実になっていったのもひとつの選択があったのではないだろうか?

朝鮮半島が新羅よりも高麗、高麗よりも李朝と、少しずつ中国文明への傾斜を強め、自縄自縛になっていくのに対して、日本は唐が崩壊した907年以降、少しずつ中国文明からむしろ離反していく知恵を持っていた。
それは王権を正当ずける根拠と制約する条件において、日本がそもそも出発点から古代帝国と本能的になにか異質なものを感じ、距離を持ち、自覚的に自分自身のパターンを開拓していった点にこそ、むしろその後の発展を約束させる状況が存在していたといってもよいのではないだろうか。
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上記の記述はそのまま漢字⇒日本語への転換にも相通じる。
平安時代定着した仏教についても日本に入って定着したのは亜流であり密教であった。明治維新後の西洋文明の日本化へのアレンジについても、同様である。

日本には多くの文化、文明、人が長い年月をかけて移入され定着してきた。
しかし、特筆しておきたいのは日本に入ってから、それらは本流の本質を日本流に変化させている事である。受け入れがたいものは排除して、必要な部分だけを導入する、それらが歴史のどの段階でも行われているという事は、変換行為がほとんど無意識に近い形で、日本人の本質や本能として成されているのではないかという事である。
その判断の根本とは何か?あるとすれば、長い1万年の歴史を持つ縄文時代に培われた共同性による精神構造(判断基準)であると私は思っている。
 
 
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