人類の起源と人類の拡散
20128 屈葬の意味
 
三ヶ本万州夫 ( 壮年 講師 ) 02/01/06 AM11 【印刷用へ
中野さん、今度は屈葬ですか。すぐに自宅の浴槽を連想してしまうことはさておき、乗りかかった舟(ちょっと悪乗りかも)、田野さんからもレスを頂きましたので、もう少し続けさせて下さい。縄文人の世界観ということと絡むので、完全なオフトピとも思えませんので・・・。

草創期から縄文時代を通して埋葬方法は、土葬の際に、膝を曲げて、しゃがんだ姿勢で埋葬する屈葬です。甕、桶、座棺を用い、脚を折り、座った形で葬られたものが発見されていますが、これも屈葬の一種です。本州ではこの屈葬から身展葬(体を伸ばした埋葬法、寝たような格好)に変化するのが、縄文末期から弥生初期にかけてです。地域により差はあるようですが、弥生時代の埋葬法は、一般的には伸展葬です。北海道で身展葬が見られるようになるのは、千年ほどのちの擦文文化期(西暦700年頃)だそうです。いずれにせよ、死生観の変化が墓制の変化となって表れたのは確かでしょう。

 屈葬の理由は諸説ありますが、いくつかあげると、
1・掘らなければならない墓穴が小さくてすむためという省エネ説
2・胎児の姿勢をまねて再生を願ったとする説
3・休息の姿勢であるという説
4・死霊を恐れた事が原因とする説

主流は4でしょう。縄文時代の人は、悪霊にとりつかれて死ぬと考えていたのかも知れず、畏怖の念から死体を縛ったり、胸部から腹部にかけて大きな石を重石のようにのせて(一般に 抱石葬といわれている)死者の再起を防止した、という見解です。

しかし、こんな記述もあります。「メラネシアやアフリカでは、死体をしゃがんだ姿勢にして埋葬する。小さな墓穴ですむだけでなく、座った休息の姿勢で安らかな死後を期待したのかもしれない。大地を母とする民族にとっては、屈葬は胎児の姿勢、つまり死者の母胎回帰、さらにそこからの再生を表現するともみられる。」 これは1・2・3の混合説ですね。中野さんが言われているのは3でしょう。

個人的には2の説に惹かれています。「ゾンビ的恐怖」が腑に落ちない根拠としては、環状集落(関東・中部・東北の高密度地帯に一致して分布する、拠点的な性格を持った集落)において、墓地は必ずそのサークルの内側に位置しているのです。それは生きている村人と死者との間の強いつながりを意味していると思われます。現代人でも自宅の裏庭に家族が土葬されていたら、たとえ自分の親でも薄気味悪いのではないですか?本当に恐れていたら、遠い森の中などに墓地を作ったとは思えませんか?

ただ、抱石葬については意味不明です。頻度がどれくらいなのかも調べてみます。それに現代でもゾンビを信じている黒魔術信奉者のたぐいはいくらでもいるのですから、当時も様々な死生観が併存していたかも・・・。とはいえ、基調は2だった、というのが仮結論です。

 
 
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