本能⇒共認機能⇒観念機能
195755 言語機能の獲得と直立歩行
 
北村浩司 ( 壮年 広報 ) 08/12/27 AM09 【印刷用へ
人類における言語の獲得過程に対して興味深い観察事例があったので投稿します。
リンク正高信男「ヒトの言語能力の心理生物的基盤を探る」

赤ん坊が最初に発声する多音節の発声、つまり言語の条件を備えた最初の行為は、実は笑うという行為です。というのは、呼気の断続を伴うこの笑いの音には、まぎれもなく複数の音節が認められるからです。
(生まれてまもないころには、赤ちゃんが声をたてるといえば、ひたすら泣くばかりです。)そして、この笑いが可能になるのは、生後4ヶ月くらいからです。

>この理由は、新生児ののどの構造にあります。新生児ののどは、笑い声がたてられないような構造をしているからなのです。新生児の口の奥には、いわゆる「のどちんこ」が口腔の奥に位置し、それが舌のもっと下の方までたれ下がっています。そして、のどちんこのさらに奥にある空洞がありません。この空洞こそが言語を作り出すために不可欠な形態的特徴であり、空洞が共鳴箱の役割をはたして初めて、声帯という膜の振動が増幅を受けて口から発せられるのです。

>そして声をたてて笑うという行動は、決してそれだけが単独で現れるわけではありません。赤ちゃんは下肢を何度も繰り返し蹴りながら笑うのです。このころの赤ちゃんは、未だ立つことはおろか、自分ひとりでは座ることもままならないのに、寝ころがったままで、しきりにリズミカルに下肢の屈曲・伸展を繰り返すのです。では、笑いにリズミカルな足の動きが同期することに、一体どういう意味があるのでしょうか?

>赤ちゃんが笑う際の「声のたて方」を詳しく調べてみると、興味深い事実が浮かび上がってきました。どうやら赤ちゃんは、笑うという呼気の規則的で長い、連続反復運動を随意的に行う術を、足蹴りをベースにして身につけていくらしい。空をリズミカルに足で蹴る運動は、生後5〜6ヶ月にピークを迎えます。それからのピークを過ぎたのを待ちかまえていたかのように、今度は手を用いた反復動作が行われるようになってきます。子どもは今までより早いテンポで、リズミカルに手を運動させるようになっていきます。こうして、よりこまかい周期で呼気の断続的反復ができるようになっていくのです。

また別の論文では、人類の言語機能を司る運動性言語野は共認回路を司どっていると思われるミラーニューロン=同化回路が組み込まれており(入り込んでいること)、この発達無くして言語機能の獲得はあり得なかっただろうことが記述されています。リンク同氏「言語の起源を再検討する」

このことは以下のことを示唆しているのではないかと思われます。
つまり人類が言語を獲得する過程においては、まずは足ついで手のリズミカルな関与していること。つまりは歩行訓練そのものが言語の前提となる、より細かい周期での呼気の断続的反復能力を獲得する手段となっていったこと。
さらに、もともと直立歩行訓練は人類にとって、闘争訓練でもあり、集団全体でリズミカルな動きを繰り返すことは、後の踊りに繋がる最大の解脱充足でもあったのです。つまりその歩行訓練によって人類は同化機能を強めたことも間違いありません。その意味で、人類の言語機能の獲得過程には直立歩行(訓練)が密接に連関しているのではないかと思われます。
 
 
 
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239520 赤ちゃんの言語の獲得過程〜笑いと足蹴り 1969 10/10/17 PM07

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