生物の起源と歴史
175995 スギ花粉症はなぜ起こるか?
 
雪竹恭一 ( 45 大阪 営業 ) 08/05/09 AM05 【印刷用へ
国立成育医療センターの調査によると、ダニやスギ花粉のアレルギー体質保有者の割合は、20代では、'70年代までは20〜30%という報告が多かったが、最近では特に関東地区では70〜80%にも達している。

代表的なスギ花粉症を例にとって、そのメカニズムを見てみると、概略以下のようになっている。

「清潔すぎる環境に育つ→1型ヘルパーT細胞(及び制御性(サプレッサー)T細胞)が発達しない→2型ヘルパーT細胞が過剰に増える→サイトカイン(インターロイキン4)→B細胞がIgE抗体を大量産出→IgE抗体がマスト細胞(肥満細胞)と結合→マスト細胞(肥満細胞)がヒスタミンやロイコトリエンなどの顆粒を大量放出→アレルギー反応」

ダニや花粉は、粘膜バリアー下に存在している樹状細胞により異物として認識される。樹状細胞は、近くのリンパ節に行って抗原提示し、異物がやってきたことをヘルパーT細胞に伝える。その時、細菌やウィルスが混じっている場合は、1型ヘルパーT細胞に伝えるが、そうでない場合は、その異物が有害ではないと判断し、2型ヘルパーT細胞に伝える。(元々は、ダニや寄生虫を効率よく排除する仕組み。)

1型ヘルパーT細胞と2型ヘルパーT細胞は、相互抑制の関係になっており、1型ヘルパーT細胞が増える時には、2型ヘルパーT細胞にとって毒となるサイトカイン(インターロイキン12)が分泌され、2型ヘルパーT細胞が増え続ける時には、1型ヘルパーT細胞にとって毒となるサイトカイン(インターロイキン4)が分泌される。

子どもの頃から細菌感染を繰り返していると、変性した細胞の核(つまり自己抗原)が大量に放出され、制御性(サプレッサー)T細胞が増殖する。自己抗原と接触していないと、制御性(サプレッサー)T細胞は発達しない。制御性(サプレッサー)T細胞は、ヘルパーT細胞が過剰に働くのを制御する役割をもつ。

マスト細胞は、肥満細胞とも呼ばれ、皮膚や粘膜に多く存在する。中にヒスタミンやロイコトリエンなどの顆粒がぎっしり詰まっている。ヒスタミンは、知覚神経に作用してくしゃみや鼻水を出し、ロイコトリエンは血管を刺激して血管の拡張・透過性亢進を促し、鼻粘膜の腫れや鼻づまりを起こす。

関東地区に関して言えば、戦後に植林された大量のスギが成熟期になり、飛散する花粉量が増えたという要因はあるらしい。しかし、それだけでは、急激なアレルギー体質保有者の増加は説明しにくい。子どもの頃、牛や馬のいる環境で育った人は、都会で育った人に比べて花粉症にはなりにくい(確率は1/5程度)という報告もある。(これは衛生仮説といって、先進国では共通の傾向であるらしい。)

さらには、ダニなどのハウスダストの増加には、冷暖房で締め切った室内環境が大きく影響しているとの話もある。人間にとって快適な環境は、ダニなどにとっても繁殖するのに快適な環境らしい。

こう見てくると、アレルギー体質保有者の増加は、やはり市場論と大きく関わっている疑いが濃厚である。'70年代の豊かさ実現以降に急激に増加していることからみて、人間が、自然とはかけ離れた、人工的な快美空間を追い求めてきた結果であると思われる。

※参考:「アレルギーはなぜ起こるか」(斉藤博久著、BLUE BACKS)より。
 
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199494 発酵イナワラで花粉症を治す 大森義也 09/02/11 PM05
生物をテーマにしたブログを紹介 アイラブサイエンス 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 08/06/14 AM00

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