否定脳(旧観念)からの脱却
141385 古代宗教の特色比較4 儒教
 
西谷文宏 ( 29 建築設計 ) 06/12/30 PM10 【印刷用へ
◆儒教
 <始祖>
  孔子:春秋時代 中国の思想家。諸子百家の一人。
   孔子とは尊称(子は先生という意味)で本名ではない。
   下級武士の次男とされるが、出生は怪しい。
 <成立時期・過程>
  紀元前500年頃(春秋時代)
  紀元前770年、大国 周が滅び、紀元前220年に秦が中国を統一  
  するまで中国大陸は分裂・戦乱状態に陥る。
  この時代それまでの身分制秩序が解体され、実力主義(=武力闘争・
  覇権争い)の時代へと転換していった。
  魯国に生まれた孔子は、周の文王・武王の時代を理想とし、古の
  道徳・規範・秩序を立て直すことを唱えた。
  魯国に仕官し司法長官(≒大臣)まで昇進するものの、公族の横暴
  に怒り、改革を図るが失敗。
  失脚して、諸国を14年放浪しながら、諸侯に遊説してまわったが
  どこの国にも受け入れてもらえず、結局魯に戻り、弟子に教えを
  説く日々を送った。
  孔子の死後その思想を中心とした教団が弟子によって作り上げられ、
  孔子と弟子の語録は、「論語」としてまとめられた。
  →儒教の成立
 <特徴・教義>
  1.「無神教」
   儒教は「神」を措定し、信仰する宗教ではない。
   (神の存在を肯定するわけでも、否定するわけでもないし、  
   その存在に言及するわけでもないので、「無神教」と言うのも
   適切ではない。ただし「天意」と言う表現は出てくるので
   唯物論でもない)
  2.「祖霊信仰」
   儒教は、孔子誕生以前の時代から存在している、死後の世界と
   交信する「巫女」(冠婚葬祭などの儀式を行う専門集団)を基に、
   そこから祖先信仰の要素だけを取り出して観念化した宗教である。
  3.「家観念(父系観念)=序列観念」
   儒教の教え(理想とする道徳)の基礎には、祖霊信仰に根ざした、
   「家観念」が存在している。
   「家観念」の中心軸を成すのは、父子関係であり、この「家観念」
   は父系観念・父系規範とも言える。
   この家観念は、あらゆる序列関係に広げて適用され、五倫
   (父子、君臣、夫婦、長幼、朋友)関係における序列秩序の
   維持が重要視されている。
  4.「本源”風”規範」
   本源”風”規範(本質は序列規範)に基づいた5常(徳性)を
   広げることを教える。
   ・仁=子どもが親に対して持つ敬愛の気持ち「孝」を他人に
      広げたもの。人を思いやること。最高の徳。  
   ・義=正しい行いを守ること。
   ・礼=仁を具体的な行動として、表したもの。
   ・智=物事を認識したり判断したりする能力。
      (単純な知識とは違う)
   ・信=うそのないこと。まことであること。
      そして疑わないこと。

以上の特徴・教義から解るように、儒教は神を信仰の対象とする一般的な宗教とは違い、「(序列)道徳思想」的な教えである。
その教えは、祖霊信仰→家観念(父系観念)=序列観念に貫かれている。祖霊信仰→家観念(父系観念)は、始原人類の精霊信仰を投げ捨てた上に成り立っており、その他の宗教と違い、人類本来の精霊信仰(≒対象追求)の流れを断ち切った宗教と言うことができる。(何かしらの対象追求ではなく、理想観念・規範の実践を最高価値としている)

儒教は他の古代宗教に比較すると、現実否定の意識は薄いように感じるが、武力闘争・覇権争い→秩序崩壊の中で、立ち返った先は、過去の時代の序列秩序と、本源価値を利用して正当化した序列規範であり、現実を対象化していない。やはり現実否定→架空観念収束と言う古代宗教の普遍構造の上にあると言うことができる。
 
 
  この記事は 140975 に対する返信です。
 この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_141385

 この記事に対する返信とトラックバック
日本の支配階級の意識構造を解明する 〜極東アジアの支配の歴史3 朝鮮儒教の特殊性 「縄文と古代文明を探求しよう!」 11/07/12 PM04
道教〜母系氏族社会を源流とした共同体規範 「縄文と古代文明を探求しよう!」 07/05/21 PM06
142823 東洋人と西洋人 くろかわ 07/01/20 AM02
142661 西洋の思想・宗教は一貫して現実を捨象している チンロック 07/01/18 PM07
141934 中国での論語教育ブーム √177√ 07/01/10 PM03
141744 日本人の仏教と儒教 村上祥典 07/01/07 PM00

  [戻る]  


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
大転換期の予感と事実の追求
実現論の形成過程
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(1)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(2)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(3)
自考のススメ1.未知なる世界への収束と自考(4)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(1)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(2)
自考のススメ2.現代の不整合な世界(問題事象)(3)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(1)
自考のススメ3.自考力の時代⇒「少年よ、大志を抱け」(2)
1.これから生き残る企業に求められる能力は?
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
4.共認回帰による活力の再生→共認収束の大潮流
5.自我と遊びを終息させた’02年の収束不全
6.同類探索の引力が、期応収束を課題収束に上昇させた
7.情報中毒による追求力の異常な低下とその突破口
8.大衆支配のための観念と、観念支配による滅亡の危機
9.新理論が登場してこない理由1 近代観念は共認収束に蓋をする閉塞の元凶となった
10.新理論が登場してこない理由2 専門家は根本追求に向かえない
11.学校教育とマスコミによる徹底した観念支配と、その突破口(否定の論理から実現の論理への転換)
12.理論収束の実現基盤と突破口(必要なのは、実現構造を読み解く史的実現論)
近代思想が招いた市場社会の崩壊の危機
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実に社会を動かしてきた中核勢力
私権時代から共認時代への大転換
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
統合階級の暴走で失われた40年
大衆に逆行して、偽ニッチの罠に嵌った試験エリートたち
新理論の構築をどう進めてゆくか

『るいネット』は、48年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp