この記事の読者は累積375462人です。
 
企業を共同体化するには?
211583 自主管理への招待(7) 労働の解放のために:自主管理の原則
 
岡田淳三郎 ( 60代 大阪 経営 ) 09/07/26 PM07 【印刷用へ
【自主管理への招待(7)】

私たちは、疎外された労働を克服し、より人間的な労働を実現してゆく基盤を、以上のような意識生産の必然性の認識において獲得し、ひき続いて実践的に労働の解放をめざす新しい生産体を創ってきた。それが、類設計室である。

私たちは何よりもまず、自らの生きる場を自らの手で築いてゆきたいと願う。そして新しい歴史時代を、自らの力の及ぶ地点まで実現してみたいと願う。だがそこで何よりも問われるのは、私たちが永い間奪われてきた、総体的な関係能力(組織能力)の獲得である。現実に、生産体の内部から権力体制を廃棄してゆくためには、技術者が自らの手で組織を管理し、経営などの活動を担い続けてゆかなければならない。ところがそこで求められているものこそ、意識生産に要求される関係能力の真髄なのである。技術力だけでなく組織能力をも獲得してゆく事、そのようにして狭い専門領域に閉ざされてきた自分自身を広大な類的対象に向けて開き出す事、そこにこそ意識生産者に委ねられた本来の人間労働の世界がある。今なお多くの技術者は、そのような活動に背を向けている。だが新しい時代は、既に始動している。その実現は、現代に生きる人間に与えられた、わけても意識生産者に委ねられた最大の課題ではないだろうか。

私たちは、以上の認識に基いて自主管理の原則を確立してきた。すなわち、第一に<誰もが生産の主体となるために、技術活動と共に組織活動をも担い切る事>、それを通じて第二に<誰もが組織の主体となるために、多様な関係能力を獲得してゆく事>、それを前提として第三に<会社のあらゆる活動を、誰もが自由に提起し、決定し、担当してゆく事>、これがその原則である。

類設計室は、現実に徹底した参加の体制で運営されている。その全体は、採算を含めて自主管理してゆく一〇人前後の室単位によって構成され、全社の代表をはじめとする活動のリーダーは投票で選出されている。そこで全員参加の軸と成っているのは各種の会議である。誰もが活動の全体を把むための日々の営業情報や設計分担は、毎朝の業務会議で報告され決定されてゆく。さらに、経営や営業の方針、その他の基本的な全ての問題は、週一回の密度で行われる単位会議で検討され決定されている。全員参加を保障するのは会議の密度だけではない。会社の全ての基本的な情報は資料化され、全員に把握されてゆく。もちろん会社の経理は全員に公開され、その全ての利益は能力に応じて全員に分配されている。

要するに、類設計室は共同体である。しかしそれは、決して甘い幻想の上に成り立っているのではない。自己の全意識を最も根底的な歴史認識に収束させてきた成果が、その実現を可能にし、自己の全能力を最も現実的な生産活動に投入してきた成果が、その発展を可能にしたのである。先に挙げた自主管理の原則も、<誰もが組織を管理する事>つまり常に組織の立場で問題を考える事であって、単に個人の立場で考える事ではなく、まして自分の好き勝手にやる事ではない。類設計室という一つの生産体を、誰か他人のものではなく自分のものとして捉える事ができるかどうか、それは会議をはじめ様々の類的な活動を、強制されたものではなく目的的な活動として獲得してゆくか否かに、かかっている。さらにそれは、最終的には自己の近代意識からの認識の転換にかかっているのである。狭い私益と職能の檻に留るか、自らの意識を解き放ち、全力を傾けて『類』の地平を獲得してゆくか、それを選択するのは、一生をかけた君自身の判断である。
 
List
  この記事は 211502 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_211583
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
369213 パナソニック新社長が「過去」を研究し続ける真意は、組織力=社員一人一人が戦力となる自主管理体制の再生 蔵端敏博 21/08/04 AM00
人々の活力を引き出す企業のあり方追求し、「強制自由主義」=グローバリズム を覆していく 「日本を守るのに右も左もない」 18/10/05 PM03
335821 数多の企業が適応不全に陥る中、組織の主体となることで培われる関係能力が重要となってくる 清水昌広 18/05/20 PM09
307951 【図解】自主管理への招待1〜7 野田雄二 15/09/23 PM05
307948 【図解化】自主管理への招待@〜Fの図解化 千葉大生 15/09/23 PM03
307912 【図解】自主管理への招待(1)〜(7) 自己の近代意識からの認識の転換 大越菜央 15/09/22 AM02
完璧な集団はないから、みんなで作っていったらいい♪ 「女の職場話」 14/03/23 AM10
285837 人材育成をどうする?を入口に共同体化が促進される予感 喜田育樹 14/01/04 PM11
284919 共同体において“戦力になる”ということ スガイク 13/12/08 PM06
284897 共同体の一員であることの誇りが沸いてきました マリー 13/12/07 PM10
【共同体の弱点ぶっちゃけトークライブ】1.共同体の社員は圧力逃避?! 「これからは探求の時代」 13/03/23 PM09
『共同体経営とは?』8〜経営者であり労働者である仕組み=自主管理体制とは?〜 「これからは探求の時代」 13/01/18 PM01
268792 組織への感謝、みんなへの感謝。「自分達の生きる場をみんなで築いていける場を創ってきてくださってありがとう」 土屋範明 12/09/18 PM07
263568 若者の意識潮流:現実否定から現実直視への転換 山上勝義 12/04/28 PM11
共同体的企業の中身とその構造化B 〜社員ブログの可能性〜 「これからは探求の時代」 12/01/16 AM02
258779 組織改革に踏み切れるかどうかは、仲間への肯定視次第☆.。.:* 西知子 11/11/18 PM05
経営者の視点に学ぶ〜南海金属株式会社 時代に適応し続ける企業〜 「これからは探求の時代」 11/10/26 PM09
257624 全員が経営を担うという視点を持って始めて、資格取得も組織課題と捉えられる 喜田育樹 11/10/13 AM10
近代思想に支えられてきた家庭(7)〜労働の解放のために:自主管理の原則〜 「感謝の心を育むには」 11/02/05 PM04
238677 自主管理への招待 西村美香 10/09/30 PM03
238551 共に体を同じくしたもの 梅原雄介 10/09/27 PM06
238430 傍(はた)を楽に 清水宏紀 10/09/25 PM03
238332 なぜ働くのですか? 佐藤絢 10/09/23 AM02
238268 人間力 深井崇光 10/09/21 PM10
238222 仕事=周りの活力を上げること 三上香緒里 10/09/21 AM02
238218 課題からはじまる人間関係 鈴木碧衣 10/09/21 AM00
238093 「内圧=外圧」から 阿部有莉 10/09/18 PM10
238045 自主管理の正体 小川幹大 10/09/17 PM11
238018 人間社会対象化能力 安原絵梨 10/09/17 PM00
237959 意識生産は共同体でなければ担えない 川井孝浩 10/09/16 PM06
237929 「自習管理への招待」を一通り精読して 藤田泰明 10/09/15 PM09
237880 これからの楽しみが増えました 佐藤絢 10/09/14 PM10
237735 「自主管理への招待」は可能性の論。 佐藤賢志 10/09/11 PM11
237730 奴隷→共同体の中のひとり 阿部有莉 10/09/11 PM11
237090 [図解]自主管理への招待(7)労働の解放のために:自主管理の原則 さぼてんのはな 10/08/31 PM10
社会問題を本気で考える企業〜パソナグループ〜 「これからは探求の時代」 10/07/09 PM11
232425 自主管理の原則の実現を担うべき若者世代の重要性 中辻僚 10/05/29 PM10
231491 「仕事ができる人」とは「集団のパフォーマンスを向上させることのできる人」 福島健 10/05/11 PM01
229701 すべては、関係能力獲得の一点にかかっている。 阿部佳容子 10/04/07 AM08
229699 【自主管理への招待】を読んで 竹田翔 10/04/07 AM05
228253 とある学校の「全員合議制」の教職員会議 石橋創 10/03/14 AM00
228252 自主管理の原則ってめちゃめちゃ深い!! 汚れなき男 10/03/14 AM00
228117 新しい歴史時代では、全ての生産者が意識生産者であることが求められる 斎藤幸雄 10/03/12 AM07
自主管理への招待(7)〜労働の解放のために:自主管理の原則〜 「金貸しは、国家を相手に金を貸す」 10/03/10 AM02
227680 【自主管理への招待】は時代を超えた活力源 太刀川省治 10/03/06 AM00
227592 共同体化して活力出したもの勝ちとなる時代が来た☆ 石川笑美 10/03/04 PM08
227546 「自ら組織を経営する」という意識なら、活力と成果につながる☆ 安部真未 10/03/03 PM09
227534 共認時代に求められる「関係能力」って? 矢ヶ崎裕 10/03/03 PM04
225625 【図解】自主管理への招待(7)目的意識がなければ、意識生産の時代では何も生み出せない KOU 10/02/02 AM01
224893 私権価値から類的価値に評価を換えていく所から労働開放が始まる 向芳孝 10/01/23 AM00
224181 考えたいのに考えられない現実 大脇正嗣 10/01/13 PM08
224162 自主管理の 社会への招待 一力広明 10/01/13 PM04
224150 共同体の実現は超難課題だった 山名宏明 10/01/13 PM01
224142 【図解】自主管理への招待(7) 労働の解放のために:自主管理の原則 是永恒久 10/01/13 AM11
222879 【図解】自主管理への招待(7) 労働の解放のために:自主管理の原則 福田尚正 09/12/28 PM10
220353 恐れずに関係能力の獲得へ向かっていきましょう。 永峰正規 09/11/23 AM00
220158 対象世界を獲得するための、主体の転換 匿名_希望 09/11/20 PM08
219950 「協働体企業」が「共同体企業に」に進化しつつある 向芳孝 09/11/18 AM11
219720 【図解】自主管理への招待(7) 労働の解放のために:自主管理の原則 yuyu 09/11/15 PM00
218733 なぜ、自主管理への招待は、35年前に書かれたか? 西田美和 09/11/01 PM10
218728 自分も周りも同じって感じることが自主管理への第一歩♪ みかん 09/11/01 PM09
218680 類グループの共同体経営を伝える時 正国稔 09/11/01 AM10
218640 自主管理への招待 7を読んで ゆたか 09/10/31 PM09
217220 『自主管理への招待』―【図解】歴史認識に基づく新しい生産体 マフラーの似合う猫 09/10/15 AM02
216712 社会人に必要な能力は同化能力と認識力 きなこ 09/10/08 AM01
216587 答えの供給者になるために 石澤亜紀香 09/10/06 PM02
216083 自分の人生を生きたい。 新免琢弥 09/09/29 PM10
215217 「組織能力」の獲得も充足課題 匿名希望 09/09/17 PM04
214672 圧力の働く場に同化することが成長のヒント 矢野悟 09/09/10 AM00
日本支配の構造37〜岩倉使節団:その他の欧米諸国(フランス、ドイツ、ロシア)編 「日本を守るのに右も左もない」 09/09/07 PM10
214212 福岡で靴屋を営むオーナーさんとの出会い 倉橋利弘 09/09/03 PM04
214050 総合的な関係能力とは? 渡邊真也 09/09/01 AM02
214032 労働は苦役でなく、充足課題 山上勝義 09/08/31 PM09
213930 35年前「自主管理への招待」にめぐり合えた幸運 ryujin亭 09/08/30 AM04
役に立つ勉強法って?14池谷裕二〜記憶とひらめき・直感 「感謝の心を育むには」 09/08/22 PM00
役に立つ勉強法って?19 池谷裕二+築山節〜記憶の定着 「感謝の心を育むには」 09/08/22 PM00
213078 追求世界と関係世界は不可分である 加藤弘行 09/08/17 PM10
212976 スッキリと一本化することができる時代になった ジャック・ダニエル 09/08/16 PM02
212776 意識生産では、社会を対象化し続けることが不可欠 新里勝一郎 09/08/13 AM01
212607 社会の当事者として 八代至誠 09/08/11 PM00
212573 組織存続は「自主管理」があってこそ。 大森義也 09/08/10 PM07
212554 自主管理の原則は、<誰もが組織を管理する事> 匿名希望 09/08/10 PM03
212487 仕事から社会課題まで、全てが繋がっていく わっと 09/08/09 PM01
212475 企業が勝ち残って行く為の「自主管理」 中村英起 09/08/09 AM06
メルマガるい NO.350 ◆◇ 企業革命 (続)◆◇ 「ブログ de なんで屋 @東京」 09/08/07 PM11
メルマガるい NO.350 ◆◇ 企業革命 (続)◆◇ 「路上で世直し なんで屋【関西】」 09/08/07 PM00
212242 自主管理への招待を鑑として 是永恒久 09/08/05 PM04
212084 外圧をつかむ⇒自分が何をすればいいのかがわかる 三上恭平 09/08/02 PM06
212080 自主管理への招待を学んで 松下晃典 09/08/02 PM05
メルマガるい NO.349「企業革命」 「ブログ de なんで屋 @東京」 09/07/29 PM04
シリーズ【「自主管理への招待」を学ぶ 】 〜第3弾 共同体とは〜 「路上で世直し なんで屋【関西】」 09/07/27 AM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献


『るいネット』は、49年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp