私権原理から共認原理への大転換
99536 「景気」という捉え方が、もはや旧観念なのでは?
 
大木康子 ( 55 山口 主婦 ) 05/10/22 AM01 【印刷用へ
 戦後から現代に至るまでの景気動向のデータを読んで、1948年生まれの私にとっては、まさに物心ついた時から現代に至るまでの物的な面からの生活の変化、精神的な面からの意識の変化そのものを表しているように感じた。1954年の神武景気に始まり、その後の岩戸景気、オリンピック景気、からいざなぎ景気まではまさに日本が敗戦から立ち直り、驚異的な経済発展を遂げた時代であった。

 とりわけ、1954年〜1957年にかけての神武景気は、(神武天皇以来、有史以来未曾有の好景気という意味でつけられたのだが)、小学生の頃、子供心にはっきりと、それまでの生活が、日々様変わりに快適で便利になっていったのを覚えている。所謂「三種の神器」の登場は、母親には余暇を、家庭には新しい家族の団欒をもたらした。またこの頃は、それら電化製品が各家庭に収入に応じて徐々に行き渡り始めた頃で、近隣の「○○さんちは○○を買った」と噂が広がると、誰しも我も我もと先人を争って買おうとする時代であった。またその為に、父親は企業戦士となって家族の為に必死で働いた。

 その後、経済は高度成長を遂げ、人々の意識は「一億総中流化」に向かい始めた。1965年〜1970年にかけてのいざなぎ景気の頃には、3C(クーラー、カラーテレビ、カー)が家庭にあることが豊かさの象徴であった。当時の適齢期にある女性にとっては、相手が3Cを持っていることが結婚の条件と言って憚らなかった。

 このように過去を辿っていくと、貧しさから豊かさを獲得していくまでは、人間の欲望はどこまでも際限なく広がっていくのが分かる。しかし、一旦豊かさを獲得してしまうと、物的な物への欲望は急激に褪せていくように思われる。確かに人々は物的な豊かさで、多くの利便性や快適さの恩恵には浴したが、その一方で、多くのものを失ってしまったことに気付いている。かつては電化製品が「一家に一台」という謳い文句が、今では「一人に一台」になり、地域や家族はもはやバラバラに解体してしまった。1971年のニクソンショック、1973年のオイルショック以降、経済成長率はマイナスに転じていくが、人々の意識は、これまでの物質的な豊かさから精神的な豊かさ追求に大きく転じているように感じる。

>従来の経済学の基礎は、人は(無限に)物や金をほしがる、という原理に基づいてつくられている。この原理は、すべての人にとって私利私欲の追求が最大の価値であるという、さらに深い原理から導き出されている。

>これまでの経済学は、私利私欲の追求を第一とする自我を人間の行動基準の原点において経済理論を組み立てているという意味で、自我経済学と呼べる。

>人々は自我の充足から、共認の充足(課題・役割・規範・評価を共に認め合う充足)に意識を転換している。従って、共認充足を人間の行動基準において経済理論を組み立てる、共認経済学が必要となる。(78729 野田さん)

 過去から現在にいたる景気の動向データを見ても、野田さんが仰るように、人々の意識は、私利私欲を第一義とするそれまでの私権追求から、共認充足へと転換していることを強く感じる。ならば、経済学も従来のものから新たな構造認識に基づいた理論が必要とされるのは自明である。

 従って「景気がよくならないのは何で?」というお題にある「景気」という意味そのものが、旧観念であり自我経済学に基づいたものなのだと思う。
 
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