原始共同体社会
98174 クナド婚と妻問婚の断層
 
田中素 HP ( 39 長崎 企画 ) 05/09/30 AM00 【印刷用へ
>(時期がはっきりしませんが、恐らく農耕段階では)族外婚が広域化して外族との和平や政治的、経済的ブロックの拡大を動機とする、クナド婚を発達させた。クナドとは数ヶ村共有のヒロバや入会山、交通の要所で、女たちは胸乳をあらわし、ホトを露出したウズメ式の身振りの尻振り踊りによって他部落の男を誘惑し、子ダネを獲得した。(22931)

「クナド」という言葉は、日本書紀でイザナギ神が死んだ妻のイザナミ神を黄泉国(よみのくに)に訪ねていって(妻のあまりの変り様に)逃げ戻る時、追いかけてきた黄泉醜女(よもつしこめ)を遮り止めるために投げた杖から成った岐神(ふなどのかみ)という神の名前に由来するらしい。これが転じて、村落の境界部で邪神の侵入を防ぐ神とされ、各地の村落の外れや交通の要所にはこの神を祀る道祖神や祠が建てられるようになった。

クナド婚とは、このような古代信仰と一体化した各村落(族)の“結界”において婚姻行為を行うことによって、血族上、信仰上ともに、単位集団の間の結びつきを形成していく様式だったのではないだろうか。世界的に見られる兄妹婚から交叉婚への移行とは違って、むしろ全員婚の様式を場所を限定する形でそのまま複数の集団に拡大適用したのに近いように思う。

> 族外婚の典型としては、オーストラリアにみられたという風俗があり、それによると、A群の全男子はB群の全女子と夫婦、B群の全男子はA群の全女子と夫婦という形態のものらしい。二群からなるものの他に四群からなるもの、八群のものなどいろいろあるが、基本的には、やはりある特定の一群の全男子は、他の特定の一群の全女子としか通婚してはならないという原則があった。日本では二群単位とは限らず、二群でも三群でもが集落をなし、その中央に祭祀施設のあるヒロバを持って、そこをクナド(神前の公開婚所)とし、集落の全男女が相あつまって共婚行事を持つことによって、族外婚段階を経過したと考えられる。リンク

この後、日本の婚姻史では妻問婚がクローズアップされていくが、妻問婚は既に集団婚ではなく、対偶婚(緩い一対一)の形になっていて、婚姻様式の断層が見られる。これは、おそらく妻問婚が大陸からの侵入者によってもたらされ、始めから人工に導入されたものだからではないかと思う。∴日本では交叉婚の段階というのは存在せずに、また、クナド婚から妻問婚に移行したのでもなく、クナド婚は庶民、妻問婚は支配層というように、二重構造のまま並存した期間が長かったのではないだろうか。
 
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