>真猿たちが、現在見られる様な比較的安定した棲み分け分布を示す様になる前は、新たに登場した真猿他種(強種)との間で、激しい種間闘争が繰り拡げられたでしょう。チンパンジーやゴリラやハヌマンやニホンザル(その他、比較的大型化した真猿たち)は、夫々の棲息域で勝ち抜いて他種を圧倒した制覇種だと考えられます。1811
チンパンジーは、真猿・類人猿には珍しい父系集団(他種・同類闘争に有利な若雄が残留し若メスが移籍する)を形成する武闘派であり、首雄(学者はαメイルなどと最近呼ぶらしい)+上位雄集中婚の婚姻形態を持ちます。(父子であり兄弟である)成体雄の序列上の優劣関係は明快ですが、その確認・維持については常に強い緊張があるようです。他種のサルの子供や、小型の哺乳類を集団で狩り、狂乱のように貪り食うと言う攻撃的な面があります。リンク
>本来、これらの真猿制覇種たちは、夫々に広大な地域で森林という森林を埋め尽くして同類闘争を闘っており、群れも縄張りも絶えず入れ変わります。これは、群れの新陳代謝と云っても良いくらいに流動的です。しかし、小島や小半島あるいは人類の繁殖によって分断され閉鎖された小地域では、この群れ=縄張りの流動性が小さくなり、いつも同じ敵集団とのニラミ合いという状態が、恒常化してゆきます。
・・・その様な状態が極めて長期に恒常化すると、遂にはニラミ合いさえ怪しくなり、同類闘争の圧力が極度に衰弱して、闘争を率いる首雄の存在理由も無くなって終います。 1811
ボノボ(ピグミーチンパンジー)リンクは、チンパンジーの一種で、コンゴ河の内側の熱帯雨林の中のみに住んでいます。リンクその居住地は、上記リンクの中にある写真のように多くの川により分断されている>大河に挟まれた小地域であり、赤道直下の極めて豊かな生産力を持った熱帯雨林のようです。チンパンジー同様、雄残留・メス移籍の父系集団なのですが、闘争圧力の極めて低い集団内では、メスが優位であり、その生殖形態は総偶婚(というか乱婚)であり、様々な性的な親和行動が特徴的です。リンク
リンク
他種を圧倒した制覇種のなかでも、最も闘争性の高かったチンパンジーが、同類闘争の圧力も無い豊かな小地域に棲みついて小型化し、性闘争の発現を性的な親和行動によって抑止しながら集団の秩序と活力を維持するという戦略をとったのがボノボなのでしょう。
(なんだか、採取部族を想起してしまいます。)
このような,平和で,親和的なボノボを賛美する人たちも多いようですが、これも他の類人猿と同様絶滅が危惧されています。リンク
>約3000万年前、遂に同類闘争(縄張り闘争)を第一義課題とする真猿集団が形成されました。親和収束⇒プラス収束を母胎にして、より上位の闘争系の課題を共認し、その課題共認に基づいて役割を共認し、規範を共認してゆく、この闘争系の共認こそ、サル・人類集団の統合を可能にしている最も重要な共認であり、サル・人類における意識統合・集団統合は、この共認によって維持されていると云えるでしょう。従って、前記の親和共認およびプラス共認の基礎の上に形成された、これら課題共認・役割共認・規範共認こそ、サル・人類の意識を統合すると共に集団をも統合している本体だと、私は考えています
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絶滅危惧の直接の原因は、人間による乱獲や森林の破壊に在るようですが、私は、それが無かったとしてもボノボは、絶滅していくのではないかと思います。原猿の不全はなく、異種・同類の闘争圧力も無く適応し充足しなければならない不全がありません。(始原人類とは正反対の状況なのでしょう。)ボノボが1929年まで発見されなかったのは、元々比較的少数しか生きられ無い特殊閉鎖地域にのみ適応していたからで、この地域の環境が変化したら、他の場所を求めて、異種・同類闘争を行える適応活力がないように思えます。意識、集団を統合する闘争系の共認が不在・・この状態では、性的な親和行動も現状維持の活力を生起するだけで一杯なのでしょう。
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