>乳幼児期の母親との親和充足(笑顔の交信やスキンシップによる安心感)が人格形成上決定的に重要であるにもかかわらず、スキンシップが充分できていない場合、子供は親和不全(怯えに近い不安)に陥る。しかい、赤ん坊にとって母親は絶対存在であるため、親和が得られないのは「自分が悪い」からだと自己攻撃し、己の欲望や期待を封鎖して、母親から与えられる規範観念(「ああしなさい、こうしなさい」「それしちゃダメ」etc)にひたすら収束する。(68500 松尾さん)
親の囲い込みは会社を辞める若者の問題や自己中殺人、短絡殺人の問題等様々な深刻な問題を引き起こしている。
何故親は子供を囲い込むのか?不安だから、とりあえず自分の子供は少なくとも(親のモノサシにおける)いい子になって欲しい。世間的にも恥ずかしくないように、又は自慢できる様な子になって欲しい。と言った辺りになると思う。
そこで、母親が収束先とするものの一つが「学歴」であると思う。中学受験熱は(要因は他にも考えられるが)未だに冷めていないし、所謂「教育ママ」も少なくない。そういう親は旧い形で熱血指導する塾から出される膨大な宿題を、我が子が家でしているか監視して、出来ていなければ叱る。親にしてみれば「我が子の為」という気持ちが強いのだろう。しかし、そうして受験に「勝った」子供ほど進学先で燃え尽き、何らかの欠損を持ったまま大人になっていく。
そういう親の囲い込みを突破するかもしれない新しい試みが大阪の高野山高校で成されている。その名も「京都大学文系特別進学コース」というもの(リンク)。京都大学合格に向けて高野山の寮に泊り込んで集中的に鍛える。更に
>京都大学文系特別進学コース(京大特進コース)ではみなさんの志望する大学への合格を保証します。万が一、志望大学への合格が果たせなかった場合、授業料等は一切いただきません。(リンクより)
と、授業料まで保証している。
このコースが何故親の囲い込みを突破するかもしれないかというと、上述の通り、「学歴への過期待→家庭という密室空間での囲い込み」に対し、寮に泊り込み、同じ課題を共有する仲間と共に、囲い込みの親の最終目標たる京大合格を実現してやろうという点に可能性を感じるからである。
親の囲い込みによって無理やり有名中学に入った子供と、高校三年間を家庭から脱出して仲間と共に勉強に励んだ子供。もしもこの「京大特進コース」の生徒が大学進学の成果を出したなら、親の囲い込みよりもはるかに強固な仲間の力を実証出来るかもしれない(現在このコースに在籍する生徒がどういう理由で入ったかは分からないが)。どういう成果が出るのか今後も注目したいと思う。
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