多岐にわたる様式の出現
すでに「夜這い婚の類型」82897に紹介されていますが、夜這いの類型は多岐にわたるものです。なぜ、このように多岐にわたる様式が現出したのでしょうか。
>夜這いを大きく分けると、若衆だけの特権として認め、その相手を娘、後家、女中に限定する「若衆型」と、ムラの男と女となら誰であろうと自由に交渉できる「自由型」とに二大別されるが、「若衆型」のムラでも盆とか祭礼や山行き、野遊び、貝ひろいなどの行事には自由に開放するムラがあり、これを「限定型」とすれば、三つの様式があった。これが他のムラに対しても開放する「開放型」、絶対に開放しない「閉鎖型」、条件によっては開放する「限定型」と重なり合って、ほぼ九つの様式が成立する。<引用
更に、地域・ムラによって男女の取り決めの具体的方法は「順廻型」「予約型」「指名型」「誘引型」「飛込型」などが絡み合って村の規模とか環境条件などによって常に変化をしながら多岐にわたる様式・制度を柔軟に取り入れていたと思います。ただ、明治期に入り性的自由を許容する傾向が強く影響して、その様式に大きな変化を及ぼしたのでしょう。
引用は赤松啓介の「非常民の民俗文化」
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