否定脳(旧観念)からの脱却
90619 子育ての本質はどこにあるのかー個人的背景から
 
ルイジ・ヴィトン ( 44 島根 ) 05/05/13 PM00 【印刷用へ
 恥ずかしながら母子手帳というものに目を通したことが無い私が偉そうなことは言えないが、『スポック博士の育児書』の存在は知っていた。私は1960年生まれであるからだけでなく、生まれ育った家庭環境つまり母親の育児観が極めて戦前的なものだったという事情も手伝って、この書の影響は殆ど或いは全く受けていないと言ってよい。実は私自身は子離れできない母親に悩まされた人間の一人である。比較したわけではないが、スキンシップは人並み以上に受けてきた方だと思う。「断乳」ではなく遅目の「卒乳」だったに違いない。その意味で私が「自立」という観念と正面きって向き合ったのは随分遅かった。
 しかし小学校、中学校、高校と進学するにつれ、当然のことだが「自立」という生きる上で要求される「暗黙の」黄金律を求められ、それができる人間は当然成績もよく「良い」大学に入っていった。私が地元の進学高校に入学した頃の日本は(これは後に大学で教育史を勉強して判ったことだが)、遠いアメリカの影響を間接的に受けた教育観・指導要領に基づいて行われていた時代だった。つまり「詰め込み教育」のピークだった。ソ連に人口衛星の打ち上げで先を越されたアメリカが、その報復として、科学技術の充実を最優先とし、これからは科学の時代だと銘打ち、教育に力を入れたのだった。そして同様のことを属国日本にも要求していたのである。私の高校では、私が1年と3年のとき一人ずつ、自殺した生徒が出ている。共に成績を苦にしての行為だったらしい。
 今にして思えば、私が生まれてから間もなくし「流行」を超えた形で浸透していった『スポック博士の育児書』なるものの思想が、私の預かり知らぬ深層で大きく時代を動かす力となっていたのだった。無論、単純に当時の教育観と『スポック博士の育児書』の思想をむすびつけることはできないが、私にはどうしても当時の時代潮流の深層に、アメリカを基調とする「個人主義」礼賛の浸透が、戦前から恐らく60年代まではまだ健全な形で維持されていた日本の母子関係を、シロアリが家屋の柱を食い尽くす様に、根底から崩壊させてき過程と重なって見えてしまってしょうがない。
 
 今回この投稿を読みながら私は、以上のような実存的な回顧を巡らしていた。
 現在、子育てで悩む母親たちの抱える問題の核心を読み解くためには、様々な観点からの分析・検討が必要であることは言うまでもないが、自身の育ってきた背景を分析することも大いに有用であるのではないだろうか。
 
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