NHKの日本人はるかな旅』を見ました。以下のようなプロットでした。
縄文人の遺骨から抽出したDNAを分析し,現生人類のそれと照合するとシベリヤのブリヤート族が同じDNA(南方系の例外がある・・これは続編のネタ振りだろう)を持つ事が分かる。考古学的な調査により,シベリヤの地に,人類が展開した時期そこは,(現代よりは)温暖な草原で,人類はマンモスを狩って生きていた。また,魚油を貯蔵する器として土器を使用していた。という事が分かっている。(他に替え刃式細石器など使用)
再び寒冷期が巡って来た時,彼らの大半は,温暖な地を求めて移住を開始し,地続きのベーリング海峡を渡って現アメリカ大陸へ(ネイティブアメリカンの先祖だ)。またある分派は,同じく地続きであった現北海道へ移住展開した。そこは故地シベリヤが,かつてあったような草原であり,ナウマン象がいたりしたのだが,さらに寒冷化が進行し津軽海峡が凍結し歩いて渡れるようになったときはじめて本州に移動した。
やがて日本列島に温暖化が始まると,草原だった植生が,照葉樹林の森に変化し寒冷地適応した大型の草食動物(ナウマン象,ヘラ鹿等)が絶滅してしまう。そこで人類は,豊富に有るどんぐりを食する為にシベリヤ伝来の貯蔵土器を煮沸土器に改良した。
縄文土器の始まりであるが,温暖→寒冷→温暖の環境変化の中でシベリヤ草原の狩猟生活から日本列島の森の採取生活に適応様式を変換して初めて彼らは縄文人になったこととなる。
なおシベリヤ発のプレ縄文人は縄文人の先祖の大きなグループではあるようだが,縄文時代を生きた人たちは,多様な出自を持つ人たちの混血であるようだ。
(番組の冒頭にも出てくるのだが,現日本人は,もっともっと多様な混血である)
これについては番組の第2回以降に放送されるようです。
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この掲示板に阪本剛さんが書いているように,人類の発祥の地はアフリカらしいが,草原適応した人類が,二本の足で歩いた,はるかな旅路の果てに,再び森の地で,(人類としての全く新しいやり方で)森林適応した叙事詩であるようだ。
それにしてもモンゴロイドというのは,南アメリカの南端にまで達している。”グレートジャーニー”(橋本さんも参加した)の原動力となったのは,自然環境の変化に適応しようとする人類の活力だ。
番組について
三ケ本さんのおっしゃるような定説の切り貼なのでしょうが,取材の綿密さ,構成,編集の上手さ,そして切り口の新鮮さは”40億年はるかな旅”でも見たようにNHKスペシャルチームの”プロ”(←このコトバは旗色が悪いですね,職人技か?)の仕事の良さが光ります。 |
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