私立入試が一段落し、明後日は公立前期入試で、後期入試まで一月足らずとなり、いよいよラストスパートの時期になってきました。子供達は皆目の色を変えて目前に迫ったカベに立ち向かっています。その中で一人とても気になる生徒がいます。
この生徒はつい最近(冬期講習から)入塾してきたのですが、家の都合で、それまで通っていた私立中をやめて、公立高校を受験することになったのです。最初の頃は、周りの公立中学校の生徒たちの中で、一人ポツンと居ることが多かったのですが、すぐに同じ私立高校を受験する子供達と受験仲間になり、楽しそうに勉強に励んでいました。
最初、私立二校受験を指導し、本人も母親もそれを了承、仲間達と共に目標に向かって頑張り始めていました。ところが、ある日母親から意外なことを聞きました。本人が、そのうちの一校を受験しないと言い出した、理由は問題が難しく自信を失ったから、と言うのです。授業中あるいはその前後での仲間達との様子からは、ちょっと信じられないことでした。
ニ三度電話で母親とも話し、生徒とは直接話をしました。そこから浮かび上がってきたのは、母親の過度の心配が子供に転写され、本人が自信を失った、ということでした。その結果、仲間達の励ましも通じず、一校は受験辞退、もう一校のみの受験となりました。
結果は合格で事なきを得ましたが、これが次の公立受験にも影響することになりました。今まで考えていなかった前期校に出願してしまったのです。これも私立の結果を、多分上のコースには入れないだろう、と母親が勝手に予測したからです。出願した直後に、私立は上のコースで合格、しかも、塾の最後の模試でも後期校に十分合格できる成績を叩きだした、という結果が出てきました。
母親から懇談の要請があり、懇談しました、その結果、本人が納得し且つ自信を持って後期校受験に臨めるのだったら、前期校出願は取り下げましょう、ということのなりました。しかし、いずれにしても、母親の完全な先走りが、子供に二転三転の受験を強いることになったのです。
母親への同化収束力が強すぎるために母親以外は同一化の対象にはなり得ず、仲間圧力=同化圧力も表層的だけでやり過ごしているようです。<75324 辻さん
やはりこの生徒にとっては、仲間<母親、だったのでしょうか。一時期に比べてちょっぴり元気がなくなっているような彼女の表情を見ていて、母親の囲い込みの罪深さを思わずにはいられません。
しかし、前期校にせよ後期校にせよ、塾の受験仲間と共に立ち向かい、突破して欲しい、合格発表の日にとびっきりの笑顔を見せて欲しい、と思わずにはいられません。
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