顔の見える集団を超えて支配するために文字が必要になった文字の歴史から考えると、文字をもたず、口伝で伝えていくアイヌ民族がいかにニュアンスも含め集団の共感、共認をベースに伝えることに重きをおいていたことが伺えます。
そして、神々と共に生きる民族アイヌの人々がそうした、(共感を伝える)口伝を行う儀式で着る時の衣服を見ていくと、肌の出ているところの袖口、襟首などの部分に文様を用いています。それは、神(=人の力の及ばないもの)の中でも疫病、災害などの悪神が袖口から入ってこないように、儀式の時に「アイウシ文」、「ウタサ文」、「モレウ文」と呼ばれる文様(=記号リンク)がついています。
これらの文様の形には、(「アイウシ文」、「ウタサ文」、「モレウ文」それぞれ違う)地方性が見られ、服を見ただけで、どこのアイヌか知ることができたそうです。地方性が現れた文様を身にまとうこと、それは、それぞれの共認母体となる集団の自然現象を記号化して身にまとうことで身を悪神から守ることができるということではないかと思います。体感共認をベースにしたアイヌ民族だからこそ、共感回路をふる活用し開いた状態の中での儀式で、悪神とも共感してしまう状況から身を守るのに集団の文様が使われたのではないでしょうか。
(●アイヌ民族の文様)参考
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