原始共同体社会
85227 アイヌの解脱充足様式〜「座り歌(ウポポ)」〜
 
橋口健一 HP ( 42 大阪 技術者 ) 05/02/06 AM01 【印刷用へ
>まさにアイヌは祈りの民であり、祈りこそが彼らにとって生活の規範そのものだったのです。(5492

アイヌでは本州各地でも見られるように、神々に感謝する神事の後の余興で「歌と踊り」が行われます。その中で(5974)にも紹介されていました女性が輪になって歌う「座り歌(ウポポ)」についての詳細を調べてみました。

>座り歌は、2〜6組に分かれて歌を競い合うこともあり、2組に分かれることが最も多い。歌詞は極めて短いものであるが、その数は数千に及ぶ。その短い曲も時には、数10分から1時間以上にわたって歌われる。これは、同じ旋律で歌うのではなく、歌詞の一部を替えたり、多くは幾つかの音や拍数を微妙に変化させながら歌う。まず先の歌い手(音頭取り)1人が、自分の持ち歌を歌う。残りの人がそれを聞いて、そっくり真似して歌う。次に、音頭取りが真似されないように歌い、残りの人がそれを良く聞きながら真似する。

>歌が上手であるという条件には、一般的に、声の良さや張り、節回しなどと思いがちであるが、アイヌの人々にとっては、音頭取りの文句や音をしっかりと聞き取って、正確に再現することの共演で、優れた歌い手を多くの人が認めたところで、歌の競い合いが終了する。

>こうした事へのこだわりは、生活をする中で聞かれるささいな音も、身の安全を保証し、そこから発信された情報を分析し、暮らしに活用することのできる能力を会得しなければならなかったからである。従って、歌や踊りの中には動物の鳴き声や動作を模倣したものが多いし、そうした生態を広く知る事は、生きるための素材を自然界に求めていた人々にとっては、必要不可欠な要素であった。

以上、「アイヌ文化を理解するための手引き:(社)北海道観光連盟」からの引用です。

 万物の背後に霊(神々)を観ることのできたアイヌの民は、日常の解脱様式(歌と踊り)においてもその能力を応用し、さらに磨きをかけていることがわかります。「座り歌」も一見、女性達の遊びのように見えますが、その中身は周りの人との期待・応望能力が優れていなければ共認充足が得られない構造になっています。

 音頭取りの真似をするのも、目の前の対象(万物)との同化・応合の立派な訓練になっています。歌詞が数千ものパターンに及んでいるのも無限の充足可能性が秘められていることを物語っています。そして、みんなの期待に応え、みんなで評価することによって充足を得る。これは、共認原理に則った、優れた共認形成の場でもあると思います。(何か、私たちも今取り組んでいる、優れた「答え版」の輪読とダブります)

 私たちは、アイヌの民をその自然観から即時的に環境共生や自然保護といった旧観念で特別視するのではなく、彼らの万物(人や自然や動物)に対する優れた同化・応合の能力を学ぶ必要があるのではないでしょうか。
 
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