> 日本では、60年代に高度経済成長を遂げ、70年代には貧困の消滅といわれるまでに物的豊かさを実現しましたが、財政赤字はこれ以降に急激に増えていきますよね。(3035 「国債残高」岩井さん)
> ´70年、貧困が消滅した途端に、思想は輝きを失い、無思想・無関心が蔓延していった。思想の終焉である。そして、思想の終焉と共に、運動は閉塞していった(ex.´70年以降の社・共の凋落は、誰の目にも明らか)。(9050 「 共認革命6 チンケな運動(要求運動の終焉)」岡田さん)
「誰の目にも明らか」な要求運動は衰弱する一方で、隠れた要求運動が公然と国家を蝕みつつある。
それは、官僚による国家予算の分捕り合戦(概算要求)である。
■国家予算はこうして決まる
各省庁は、なんと予算実施したばかりの4月ごろから、翌年の予算編成に入る。
予算は各省庁の各局の各課から欲しい予算を出させ、それを各局がまとめ、それを各省庁がまとめ、8月末ごろ財務省に要求する。これが「概算要求」である。(8月に、政府・財務省側から「概算要求基準」という要求の限度額が出され、各省庁はこの限度額の2割増まで要求できる)
これを、財務省が査定して、12月ごろ「財務原案」が発表され、これが来年の予算として新聞で報道される。その後、各省、各大臣、与党幹部らによる「復活折衝」を経て予算案が決定される。この間、国会はタッチしていない。
リンク
つまり、原資を基準に決定されるのではなく、要求の積み上げとして予算が決定されるのだ。
しかも、この決定過程は予算を使う側の官僚が主導権を握り、密室化している。
これでは、財政赤字が消えるはずがない。
当然、公務員への風当たりは強かった。まず槍玉にあがったのが、官僚の「天下り」である。
1979年に、初めて、有力な「天下り」先である特殊法人の見直しが行われた。が、特殊法人がダメと言われれば、民営法人や独立行政法人化することで、見た目の数合わせに終わり、むしろポストは増えてしまった。実態は悪くなる一方なのだ。
リンク
リンク
■ロボットが会津磐梯山踊りに成功
独立行政法人の一つ、産業技術総合研究所の場合、理事長の月給は165万円を越える。東大学長の俸給よりも高額である。
さらに、賞与が別に600万円強、1期(2年)勤めて辞めれば、1000万円を越える退職金が懐に入る。研究所の役員14人の年間報酬総額は2億円を越え、退職金だけで別に1億円強を、国民が払っている。官僚OBの中にはこうした天下り先を、複数渡り歩いている者もいる。
この研究所は700億円以上の補助金を一般会計から得ているが(これも血税である)、どんな研究をしているのだろうか?
例えば、2005年1月に、ロボットに会津磐梯山踊りをさせることに成功している。伝統芸能をロボットに継承させるのが目的らしい。当然、これは血税で行われた「研究成果」である。
リンク
■BSEで得をした農水省
日本中を混乱させたBSE(牛海綿状脳症)問題。国民は4000億円の対策費を支払ったが、問題の責任官庁である農水省の官僚たちは、どうなったか?
結果的に辞任したのは事務次官と畜産局長だけ。事務次官は、9000万円弱の退職金を満額支給され、畜産局長も天下り先で、引き続き給料をもらっている。
事件を契機に、内閣府に「食品安全委員会」なる組織ができたが、この事務局員の半数は、農水省から出向されている。4000億円の対策費を使った農畜産業振興事業団も、農水省OBの天下り先。問題を起こしたことで農水省は、得をしたのである。
リンク
秩序収束の現在、人々は国家への信認を強め、極めて使い道の怪しい予算を賄うために、国家は過去最高の借金を積み上げた。
(2005年度末で、国と地方の長期債務残高は774兆円。国民一人当たり606万円の借金。)
そんな状況の中、人々の信認を「錦の御旗」にして、統合階級たちの私腹だけが肥え太りつづけている。
リンク
統合階級の要求こそ、70年代以降、最大の「要求需要」だったのかもしれない。
参考リンク
・年金保険料の天下り先でのムダ使い
リンク
・中央省庁の天下り状況
リンク
・警視庁天下り会社がボロ儲け
リンク
|
|