現代意識潮流を探る
84017 「子供」という旧観念
 
阪本剛 HP ( 31 千葉 SE ) 05/01/15 AM01 【印刷用へ
> 「大人になるって?」「大人とは?」これは、これという答えを導くのが困難な、しかし私たちにとって(特に中・高生にとって)は永遠のテーマであります。先日テレビ番組で「大人になる」ことの定義を模索していました。(3893

■「子供」は当たり前の存在か?
 教育・子育ての問題について議論するときに気をつけなければならないのは、「子供」という存在が、果たして、「当たり前」で「普遍的」な存在か?という点だと思います。

 アリエスの「<子供>の誕生」を読むと、かつて、大人・子供という区別はなく、子供は「小さな大人」とみなされ、物心がつく年齢(現代で言えば小学生に上がる年齢)になれば、他の家や村での見習い修行を通じて、大人と同じように働き、扱われる存在だったことがわかります。小さいなりに体力や知識に応じた、課題・役割が与えられていたのです。

 生みの親よりは、親方の家庭=育ての親について実務をしっかり叩きこまれるわけです。当然、自分の子供部屋もプライバシーなどありません。
 今のように、子供だから、という理由でことさら特別扱いされたり、溺愛・甘やかされたりする、ということはありえなかったのです。

■「子供」の成立と学校制度
 現代のような「子供」が成立したのは、近代になってからです。
 特に、学校制度の普及が大きな役割を果たします。

 近代国家が成立すると、工業・商業・官僚制度の整備が国家間闘争の要になります。国力増強のために、子供を農漁村の共同体から引き離して、都市の労働力として標準語と最低限の教養を植え付ける巨大な組織=学校の整備が必要とされたのです。

 学校に行くようになった子供は、それまでと違って、次第に働かなくなりました。
 後に教育期間は長くなっていきましたから、労働経験のない期間も長くなるわけです。こうして、働かない「小さな大人」=「子供」という特殊な身分が生まれ、いわゆる「青春」という概念や、近代的なモラトリアムが生まれました。

 また、子供が親の独占的な愛情の対象、溺愛の対象となるようになりました。かわいがる、庇護する、甘やかす親が、こうして誕生し、家庭のプライバシーは絶対化されました。人権概念が普及すると、「子供」という特殊な階級のための権利、人権が制度化されていきます。

 このような、小さいから、というだけで外圧から隔離し、特権をあたえるようになったことが、現代、様々な精神破壊、不安、悩みをはらんだ子供を大量生産してきた大きな原因だと、私は考えています。保護していたはずの子供にとっても大きな不幸だったと思います。

■「子供」とは旧観念では?
 教育とは、常に何らかの「外圧」の必然性がなければ成立しません。
 大人と同じように働いていた時代の子供は、当然、成果を出せるようになるために、必死で学んだでしょう。闘争圧力、期待圧力の存在は、精神回路の発達を促したでしょう。

 上記のような現状を突破する一つの方針として、農業体験や農村の全寮制学校には強い可能性を感じます。

> 子供達のひ弱さや、精神欠陥の激増、生活の知恵の欠如等の現状を受けて、自然体験・農業体験が拡大しています。(9441 北村さん)
> 教育の場は生産の(換言すれば生活の)場になければならない。特に発達段階にある子どもたちの本能回路から共認回路・観念回路を強く育成していくためには、自然外圧の強くかかる場が有効ではないかと思います(78502 吉国さん)
  
 私は「子供」は一つの旧観念なのだと思います。
 少なくとも、近代以降でしか通用しない特殊な観念だといえます。だとすれば、子供も大人と同じように、「社会の当事者」(65804 今井さん)として期待をかけることはできるはずです。その期待が、ひいては、子供たちの勉強意欲につながるのではないでしょうか。
 教育の場でも、「旧観念無用」が求められる一例だと思います。


 
List
  この記事は 3893 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_84017
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
幼児虐待が起こるのはなんで?(5) 「子ども」ってなに? 「感謝の心を育むには」 10/10/10 AM03
「自然体験学習教室2010」 第二回 〜野菜を植えよう!〜 「類塾★自然体験学習教室の広場★」 10/05/13 AM09
子供って・・、何?〜子供は、特権階級!?〜 「毎日のありがとう☆.。.:*・゜」 07/01/15 PM05
120864 外圧がないと狂ってくる 蝦夷穴 06/06/14 PM07
109441 「社会をどう作っていくか?」が、あらゆる問題解決の鍵! 山田純子 06/04/21 PM10
109246 「子供ってなに?」考えても見なかった!新しい気付き。 西田美和 06/04/19 AM00
6人兄弟♪《続編》 「ありがとう」 05/09/21 PM11
92814 学校教育の問題 山名宏明 05/06/16 PM09
91977 教育における父親の役割 小西康雄 05/06/03 PM01
子供を叱れないのは、何で? 「なんで屋<男塾>梅田」 05/05/10 AM02
子供を叱れないのは、何で? 「なんで屋<男塾>梅田」 05/05/10 AM02
86855 子供が通園している幼稚園の事例 田原康夫 05/03/06 AM00
86473 『「子供」とは旧観念では?』はこれからの子供や教育を考えていく上での大きな認識転換 田原康夫 05/02/27 PM11
85990 Re:「子供」という旧観念 小山瑠里 05/02/20 AM00
84749 小さな社会人と大きな社会人 吉国幹雄 05/01/28 PM00
84716 「大人」という旧観念 太刀川省治 05/01/27 PM10
84348 旧観念は「子供」という特権階級を産み出した 大木康子 05/01/21 PM01
84326 先生って? 矢野聡子 05/01/20 PM11
84295 役に立つ瞬間=大人になる瞬間 平松拓也 05/01/20 PM03
84152 「子供」が「大人」を庇護すると言う逆転現象が起きても不思議ではない 佐藤英幸 05/01/17 PM10

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

「合同板」必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
超国家・超市場論9 私権闘争の抜け道が、交換取引の場=市場である
超国家・超市場論10 何をするにもお金がかかる社会
お金〜ことわざより〜
市場と国家の共犯関係
超国家・超市場論11 市場は社会を統合する機能を持たない
超国家・超市場論12 市場の拡大限界は、国家の統合限界でもある
潮流4:輸血経済(自由市場の終焉)
潮流5:失われた40年
2.私権圧力と過剰刺激が物欲を肥大させた
3.市場の縮小と根源回帰の大潮流
市場の起源、原資拡大の方法、その真実の姿
金貸しの存在構造、不換紙幣の成立
国家債務危機〜ジャック・アタリ氏から21世紀を読み取る3
現実に社会を動かしてきた中核勢力
統合階級の暴走で失われた40年
米国債デフォルト:金融勢力の狙いは旧紙幣の廃棄
国債暴落後の世界経済はどうなる?
経済破局の下で秩序は維持できるのか?
国家紙幣によるゼロ成長の経済運営
学者・官僚・マスコミは、骨の髄まで金貸しの手先である
劣勢のロックフェラー勢は日本篭城計画を進めるしかなくなった
バブルとバブル崩壊〜金融資本主義の罠を仕掛けたロスチャイルド勢
40年の長期戦略を持ってEU統合と世界の多極化を進めてきた欧州貴族
闇の勢力争いの現状分析〜闇の支配勢力研究家の諸説をどう読むか。
「特権階級の世界」と「大衆の世界」〜2つの世界の断絶と接点は?
民間銀行から「信用創造・破壊権」を取り上げ中央銀行を国有化すればすべては解決する!
アメリカ、欧州で反金融の階級闘争が勃発か
金貸しは目先の利益追求に追われて、地球を破壊してきただけ
マネー経済の急拡大
マネー経済拡大の原因 Aグローバリゼーション
電通を媒介にしたアメリカによるメディア支配
世界中を巨大市場化していく諜報機関
ロックフェラーVSロスチャイルド 2大企業群
「ロックフェラー 対 ロスチャイルド」って何?(2)
「アメリカに食い尽くされる日本」を読んでA
9・11テロはアメリカの自作自演という世界世論
FRBは、アメリカ闇の勢力の中核部

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp