共認運動をどう実現してゆくか?
81834 年金制度の流れと、現在の年金バランスシート
 
冨田彰男 ( 41 兵庫 経営管理 ) 04/11/29 PM07 【印刷用へ
日本における年金制度の流れを簡単に追っていきます。
                  厚生年金モデル年金月額 保険料率
1942年 労働者年金発足   
 44年 厚生年金保険へ改称
    (完全積立方式、女性も適用対象に)
 61年 国民年金発足               3519円   3.5%
 65年 厚生年金給付額水準増          1万円    5.5%
    厚生年金基金発足
    (公的年金を補完する企業年金制度)
 69年 厚生年金給付額水準増          1万9997円  6.2%
 73年 物価スライド導入            5万2242円  7.6%
 76年 オイルショックに対応し、給付額水準増      9万 392円  9.1%
 80年代給付水準にひずみが顕在化        13万6050円
    (40年保険料を支払うと、給付額は現役世代の平均月収の80%)
    (妻が国民年金に加入していると、夫婦合わせると現役の109%)
 85年 基礎年金制度導入            17万6200円 12.4%
    (専業主婦は保険料負担なしでも基礎年金受給)        
 91年 学生の国民年金強制加入         19万7400円 14.3%
 94年 厚生年金定額部分支給開始年齢引上げ決定 23万 983円 16.5%
 99年 同報酬比例部分支給開始年齢引上げ決定  23万8125万 17.35%
(参考「年金を問う」日本経済新聞社編)

厚生年金はサラリーマンが加入する保険で、納付額の1/2は企業が負担しています。国民年金は、個人事業主や学生が加入する保険。

日本では、年金制度は第二次大戦中に作られてます。国民総動員令の発想に基づいてできた制度です。この段階では年表にあるように、完全積立方式ですから、現在のような年金の赤字は生まれません。

現在のような年金問題を生み出したのは、'73年に田中角栄が行った「年金給付額の拡大」です。この時、今まで支払っていない人にも一律5万円支払うという約束をしたため、最初から膨大な赤字で始まっているわけです。年金はネズミ講?といわれる所以はここにあって、最初に入った人は支払った以上に貰えて、後になるほど負担額よりも貰える額の方が少ない、もしくは、貰えない可能性もあるわけです。

'80年代には、厚生年金よりも先に国民年金の赤字が問題化し、'85年には、厚生年金から国民年金へ補填するための大義名分として、年金制度が2階建てに変わりました。基礎年金制度です。それでも、国民年金の赤字は続き、'89年についに、学生も国民年金強制加入が決定されました('91年から施行)。

現在も年金負担率引上げが検討されていますが、厚生年金は1/2は企業負担で、このままだと企業の年金負担が膨大になり倒産するので、厚生年金から脱退する企業が増えている。個人加入の国民年金も払わない人が急増しています。

現に、'99年度末で切って国民年金・厚生年金のバランスシートを試算してみると、国民年金の債務超過額は39兆円、厚生年金の債務超過額は450兆円になるそうです。

過去〜'99年度末までの保険料拠出によって将来、受給することが約束されている給付額を負債とすると、国民年金は85兆円の負債、厚生年金は720兆の負債を抱えています。それに対する資産(積立金+国庫負担)は国民年金46兆円、厚生年金270兆円しかありません。各負債−資産額が債務超過額になり、国民年金39兆円、厚生年金450兆円、合わせて500兆円近い赤字を抱えているのです。(元資料:財務省・財政事情の説明手法に関する勉強会『国の貸借対照表(試案)』 厚生労働省篇『厚生年金・国民年金数理レポート−1999年財政再計算結果−』より試算)

今や、年金制度は破綻していると言ってもよいと思います。
 
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