サル社会を解明しよう
81625 哺乳類のオスメスの庇護依存関係と原猿の雌雄共認との違い
 
北村浩司 ( 壮年 滋賀 広報 ) 04/11/27 PM07 【印刷用へ
>重要なのは、この集団が共感機能を発展させた充足共認や更には役割共認(例えば、オスは闘争と庇護、メスは出産と親和という様な)によって統合されている(つまり、雌雄共認によって形成されている)という点です。(1548四方氏)

一般動物と原猿のオスメス関係の違いについて考えてみました。単なる本能レベルの庇護依存関係と原猿のオスメス関係との違いです。

一般哺乳類の場合、それが原猿と同じくオスが単体の場合は庇護依存関係が成立しているのは、メスが子育てをする生殖期間中だけです。それ以外の期間は、メスも外敵に対して対応する能力を持っているが故に、特にオスの庇護を受けているわけではありません。
それに対して、ある程度発達した原猿は、オスメスが同居しています。言葉を変えると、生殖期間以外も恒常的な庇護依存関係が成立しています。

また一般哺乳類(同じく単体の場合)は、メス同士はそれぞれオスに生殖期間中の縄張り(安全な生活基盤)を確保してもらう関係ですから、メスはそれぞれの子供を別の場所で育てています。つまりメス同士は別居しています。
それに対して原猿はメス同士も同居しています(縄張を共有しています)。つまりメス間の性闘争や縄張確保のためのオス獲得の競争は、ほぼ封印されています。この2点が一般哺乳類と原猿のオスメス関係を巡る、現象的な違いです。

次に問題となるのは、この違いを生み出した原動力ですが、
>彼らは恒常的に飢えの苦痛に苛まれ、いつ襲ってくるか分からない敵=首雄の攻撃に怯えながら暮らしていたが、それらの極度な不全感が生命の根源を成す適応欠乏を強く刺激し、生起させた。
実現論1_4_04
これは弱オスたちが陥った不全状態ですが、逆に原猿の首雄が直面した不全は、縄張を持てない弱オスたちが恒常的に縄張を侵犯するというものです。それは性闘争の本能に基づくものであれば、発情期間中だけの闘争で済むし、かつ一度退けた敵は敗従本能が働くが故に、しばらく向かってきません。つまり弱オスだけではなく首雄が陥ったのも、本能を超えた不全だったと考えられます。

この本能を越えた不全を解消するために、首雄はメスに対して不全解消期待が生じた。それに対して、同じくメスたちは、激化する弱オスたちの縄張侵犯(それは、首雄に対する縄張侵犯だけにとどまらず、飢えを解消するためにメスの縄張にも及んだと思われます)という同じく本能にない課題(不全)に直面したが故に、メス同士の性闘争を解消し、首雄と同居の道を選んだ、と考えられます。

つまり、いずれも本能では対応できない不全に直面したが故に、本能を超えたオスメスの有り様(存在様式)を選び取った。だからこそ、このオスメス関係を生み出した吸引力は、本能を超えた雌雄共認が生んだもの、と確かに言えるのではないかと思います。
 
List
  この記事は 1548 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_81625
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
雌雄の役割分化11〜哺乳類のオスメスの庇護依存関係と原猿の雌雄共認との違い 「生物史から、自然の摂理を読み解く」 11/01/14 AM00
219220 男女の役割と共感機能 ギニュー特戦隊 09/11/08 PM03
139032 弱オスだけでなく、首雄、メスまで本能不全?! オロチョン 06/12/01 PM10
137148 図解:原猿時代、必死の可能性探索過程で様々な本能が作動 竹村誠一 06/11/11 PM02
135928 私権時代の遺物 ポパイ 06/10/29 PM11
103262 生殖のための闘争という関係 廣重圭一 05/12/28 PM00
103238 同類圧力が庇護本能・庇護期待を生起する 村上祥典 05/12/27 PM10

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

「合同板」必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
ゴリラ、テナガザル、オランウータンと人類
サルからヒトへの足の指の変異:『地上生活順応説』には物証もなければ論理的反証が多すぎる
ヒトはいつから言葉を話し始めたのか(2)
人類史を追求する意義と視点
原基構造の不変部分と可変部分
地球の気候変動と人種移動
モンゴロイドの歴史@ 20万〜4万年前 スンダ・モンゴロイド、北方モンゴロイドの誕生
モンゴロイドの歴史A 4万〜1.3万年前 中央アジア・モンゴロイドの誕生と拡散
モンゴロイドの歴史B 1.4万〜1万年前 スンダ・モンゴロイドの拡散
モンゴロイドの歴史C 1万年前〜6000年前 新モンゴロイドの誕生と拡散
モンゴロイドの歴史D 5500〜3000年前 寒冷化→新モンゴロイドの本格的な南下→中国へ
モンゴロイドの誕生と北方への進出
南方モンゴロイドの拡散と新モンゴロイドの誕生
北方モンゴロイドの拡散(ツングース族、モンゴル族、テュルク族の起源)
家畜化と農耕と遊牧、都市国家1〜家畜化と社会余剰〜
家畜化と農耕と遊牧、都市国家2〜家畜化と社会余剰〜
牧畜によって何が変わったのか?
遊牧によって何が変わったのか?
交易によって何が変わったのか?
遊牧部族の父系制転換
中国文明の起源
遊牧民の中国支配史2: 〜夏・殷・周の成立〜
遊牧民の中国支配史3: 〜春秋戦国時代・秦〜 550年間にわたる遊牧部族同士の同類闘争が、心を歪ませ、思想を発達させた
遊牧民の中国支配史4:漢の時代〜冊封体制と朝貢制によって中国史上初の私権統合体制を実現した漢帝国〜
遊牧民の中国支配史5: 〜五胡十六国・南北朝の時代〜 400年に渡る戦乱により、血縁を紐帯とした部族集団が悉く解体され、現代中国の原型=3層の人民構成が形成された
中国とは何者か?−ヨーロッパとイスラムと中国−
潮流1:共認原理と私権原理
2600年前頃、古代宗教・思想の世界同時成立期・・・・そして大転換期の現代
1万年前以前の極寒期には南欧以北の欧州は無人だった
原欧州人とシュメール人の出自
5500年前、イラン高原で最初の略奪闘争(戦争)が勃発
3500年前、コーカサスと地中海は略奪部族の支配国家と山賊・海賊だらけになった
2900年前、海の民の侵略で地中海沿岸の部族共同体は崩壊
略奪集団であるが故に自我の塊になった西洋人
西洋人の精神構造と異常な性意識

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp