現代の法曹界は、その起源を中世のヨーロッパに遡ります。
国王と教皇の権力闘争の中から、それぞれが理論武装の必要に迫られ、専門家を養成し始めました。大学の起源がボローニャの法律学校と神学のパリ大学、及び医学のサレルノ大学です。現在でも欧米では法学・神学・医学の専門家のみを三大プロフェッションと呼ぶほどの特権意識があるようです。
当初は国王や封建領主の立法権(権力の正当化)を専任してたのですが、法律家も聖職者も常に国王や教皇等のどちらか一方についているわけでもなく、利害関係によって立場を変えながら、自らの身分化、権力化を強めていったようです。大学が帝王権、教権と並ぶ中世の三大勢力となり、やがて教皇の力が落ちはじると、国王の主権を民衆との契約関係と捉え王権神授説を否定する法律家(F・オトマン)が登場し、後のホッブズ等による社会契約説の基盤を築きました。
神学者たちとの観念闘争に打ち勝ち、さらに富裕化した商工者たちの力を背景に国王及び国家に対しても私権要求を続けた哲学者や法律家こそ
>観念を武器に、私権秩序の根幹にある身分序列の闘いで勝ち進んできた階級であり、彼らの並外れた職能意識自体が、私権共認に基く階級意識そのもの(57015「プロフェッションたちの職能意識の正体」土山氏)
だと言えます。
元来、私権闘争の仲裁者として登場し、従って私権を否定することなど一度もなく、今や世界人権宣言に至るまでに架空観念(実態は私権の正当化)を絶対化させた法律家たちは、現代の神官(参考968)にまで登り詰めたと言えるでしょう |
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