生命原理・自然の摂理
5481 免疫系に見られる認識、階層と構造について、その2
 
吉国幹雄 ( 48 鹿児島 講師 ) 01/06/21 PM11 【印刷用へ
私は過去5394で、T細胞の認識について以下のように述べました。

>T細胞は、直接的には「非自己」なる異物を発見し、それと反応することはできない。「非自己」には見向きもしない。「非自己」は「自己」の中に入り込み、「自己」を「非自己」化するらしい。<(5394)

T細胞の認識は同類(マクロファージ)が違うものに変わったこと(抗原提示)を認識して初めて排除の指令をだすわけですが、>その意味では、同類(仲間)認識が第一であるというのはまさに根源的な認識として免疫系においても塗り重ねられていると思います。<(5394)
 
しかし、考えてみればなんと悠長(冗長)な認識ではないでしょうか。私は再度三つの点を押さえておきたいと思います。
第一に、根源的な認識は、同類(仲間)を受け入れるための認識であるということ。正確には、それは集団(内部環境・場)への受け入れである点。

第二に、免疫の認識系においても塗り重ねられている点。自然免疫から獲得免疫への塗り重ねは、脳における脳幹(延髄・橋・視床下部・視床)から大脳(基低核・辺縁系・新皮質)への塗り重ねや、C系(アドレナリン作動系)・B系(セロトニン作動系)・A系(ノルアドレナリン作動系、ドーパミン作動系)という神経系の塗り重ねにも通じる点であると思います。だから、実現論で言うところの、本能・共認・観念機能における認識機能も塗り重なっていると考えるべきでしょう。さらに、それは免疫系でも神経系でも、アナログ的な認識からデジタル的な認識への移行と見ることもできます。

第三に、例えば各要素(細胞)における大風呂敷的で、まるで冗長的な認識と、上位階層である集団の高度な認識との相違点。要素における認識と集団における認識と置き換えてもよいかと思いますが…。

例えば、異物が集団(内部環境・場)に受け入れられる。直接的にはマクロファージであったり、T細胞であったり…。それは5473でも触れたように、敵と認識しての攻撃とはほど遠いものです。場合によっては、異物によってその細胞は死を迎える危険性(ひいては集団が死滅する危険性すらある)があるにも関わらずです。そして、要素の小さな動きとしてそれを排除するシグナルを出すと、そのシグナルは加速されて集団全体(集団としての認識)として排除に動きだします。抗体を作り特異的な動きが現れます。私は、これは次のように考えられるのではないかと思います。

なぜ、下部の要素において初めから特異的に排除しないのか。それは、集団(場)の生命体としての適応戦略の一つではないのかと思います。下部の階層において、さまざまなゆれ(ゆらぎ)を受け入れる(許容する)のは、集団が多様な変異可能性(活性)を孕むためではないでしょうか。もちろん、集団が破壊されるような揺れは制限されるでしょう。つまり、上の階層(場)の情報によって、それぞれの要素のゆらぎ(自由度、あるいは不安定性と捉えてもいいですが)は規定される(場の秩序つまり安定。場の絶対性)。しかし、逆にそのゆらぎゆえに上の階層の変わるうる可能性を持つ。つまり各要素に活性(不安定からくる揺動力)を持たせている。何らかの要因でそれが大きくなれば、場は一気に変わりうる可能性を持つ。ある意味ではこれが上の階層の持つゆらぎです。つまり免疫系のゆらぎです。生命体はそのようにして内部環境を絶えず変えていっている(つまり進化している)と思います。
 
List
  この記事は 5473 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_5481
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
90953 その「冗長性」が、保持する「普遍性」について 田中令三 05/05/17 PM11
90497 進化史が面白いと思った時 呉珍之 05/05/11 PM10
82114 免疫機能を考える 山名宏明 04/12/05 AM11
5529 要素の多様性と集団としての秩序 斎藤幸雄 01/06/23 AM02
5501 免疫系雑感>吉国さん 匿名希望 01/06/22 PM02

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
現代の神官=社会統合階級の欺瞞
私権秩序の根幹は身分序列にあったのでは?
支配階級の私有権は絶対不可侵だが、庶民の私有権は剥奪され得る
大衆の期待の変化に応じて統合力も変わってゆく
大衆には、運動を立ち上げる余力が無い→余力を与えられた悪徳エリートが支配する社会
金貸し勢力の弱点と自滅の構造
金貸しと悪徳エリートに止めを刺すのは?
企業を共同体化し、統合機関を交代担当制にする
農(漁)村共同体の建設
支配階級の骨身に染み付いた属国根性
庶民にとって「お上」のことなど、どうでもよかった
日本の首相がアホばかりになったもう一つの理由
民の「お上捨象」とお上の「民の生活第一」という日本人の特異な体質
潮流8:自民党は、なぜ見限られたか?
日本の政治を動かしているのは政治家ではなく官僚だ!〜中村敦夫氏が「霞ヶ関」の実態を暴露
官僚制と試験制の通史的総括
官僚制と試験制の構造的欠陥
文官高等試験合格者が権力の座に着いた昭和初期に日本はおかしくなり始める
幕末の志士亡き後、戦前の試験エリートは失策に失策を重ねた
徴兵制ならぬ徴員制の提案(「日本国の刷新・再生」―21世紀研究会より)
現職の鈴木宗男衆議院議員への不当な最高栽の有罪判決と投獄の政治弾圧@
広域暴力団「霞ヶ関」
「拒否できない日本」を読んで
「アメリカに食い尽くされる日本」を読んでA
日本の政治家も、絶えず監視され報告されているようだ
中川昭一は、なぜ殺されたのか? 亀井に対する「脅し」では?
小泉首相と中曽根元首相に見る奇妙な共通点
この国は電力会社に丸ごと買収されていた。原発マネーに群がった政治家・学者・マスコミ@
日航事故@ '85年、御巣鷹山上空で何が起こったのか?
日航事故A 御巣鷹山上空での日米ソ入り乱れた空中戦の真相
日航事故C 旧陸軍勢力の背後にいるのはロスチャイルド
日航事故D ロスチャイルドに乗せられた明治維新と日露戦争
日航事故E ロスチャイルドとロックフェラーに乗せられた太平洋戦争
日航事故F 旧陸軍勢力の頂点にいる裏天皇の正体は?
マスコミの第一権力化
政治家からマスコミへの権力移行の流れ
小泉の支持率と目先の秩序収束
小泉人気、マスコミに騙されるな!
“民主党攻撃を強化せよ! 徹底的にやれ!”
小泉自民党の“コミ戦”世耕チーム

『るいネット』は、48年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp