人類の起源と人類の拡散
52463 「グリア・ニューロン回路網」と脳機能の発現
 
斎藤幸雄 HP ( 39 愛知 建築士 ) 03/03/30 PM06 【印刷用へ
『脳回路の2段階構造』(北村さん 46507)について、それを裏付けるような最近の研究を見つけたので紹介します。

 グリア細胞は、脳内で広く突起を伸ばすなど微小血管網や神経回路の間を埋めるかのように存在しています。その機能は、脳組織の構築、恒常性の維持のために必須の存在として考えられています。最近では、脳機能の発現にも関わっていることが分かってきて、ニューロンが作る神経回路にグリア細胞を組み込んだ「グリア・ニューロン回路網」という概念に基づき、脳機能に関わる現象の再検討がされています。

□グリア細胞〜ニューロンの相互作用
 グリア細胞とニューロンの位置は極めて近く、一方が遊離した物質は狭い細胞間隙を拡散して他方に作用します。神経伝達物質受容体はニューロンにもグリア細胞にも発現。また、ニューロンだけでなくグリア細胞も神経伝達物質を遊離。その結果、ニューロンの活動はグリアの活動を即し、グリア活動はニューロンのの活動に影響を与えます。さらに、グリアとニューロンは接触部位で互いに機能分子や遺伝子の発現を調整することで脳の構造や機能を作り出していると考えられています。

□グリア細胞間の情報伝達
 グリア細胞に分類されるアストロサイトでは、神経伝達物質の刺激を受けて、細胞内のCa2+の濃度の変動が生じ、ウェーブ状細胞内に伝たわります。そして、細胞間のギャップ結合を介して周囲のグリア細胞に伝達していきます。グリア回路網は、ニューロンのシナプスレベルで考えられてきた情報処理に比べると、範囲が広ですが、時間は遅そくなります。これは、情報処理の精度から考えれば正確さには欠けるように見えます。しかし、広範囲の細胞が働くことにより、脳に入力する様々な情報を総括的に解釈して処理する機構と考えられています。

□脳機能の発現へのグリア細胞の関与
 グリア細胞の脳内での広がりを考えると、局所的な細胞間の相互の影響にとどまらず、広い範囲で複雑にグリア回路網とニューロン回路網が相互に影響を及ぼし、脳機能が発現していると考えられます。

また、アストロサイトにはモノアミン受容体が非常に広範囲に発現し、中脳から発するドーパミンニューロン、青斑核や外側被蓋からノルアドレナリンニューロン、縫線核や中心核から発するセロトニンニューロンと相互作用します。これらモノアミンニューロンの異常は総合失調症やうつ病の発症に関わっています。

 ※参考:秀潤社「細胞工学」2003.4

 以上から類推すると、グリア回路網・ニューロン回路網という2つの回路網が相互作用することで、「グリア・ニューロン回路網」として脳全体が活性し、状況に応じて的確な判断を行っていると考えられます。まず状況に応じて本能機能を司る脳の部位が活性化。そこから発する情報伝達物質によりグリア回路網が活性し、脳内全体に活動の雰囲気を形成。それに応じて必要な大脳皮質のニューロン回路が作動するのではないないでしょうか。

また、人類ではニューロン1個に対してグリア細胞は10個と、その比率は他の高度な脳を持つ哺乳動物に比べても圧倒的に高いようです。人類の最先端機能=観念機能の獲得・発達には、グリア回路網の発達に伴なう「グリア・ニューロン回路網」の形成が、大きく関連しているのではないかと思われます。
 
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