生物学を切開する
4836 原始生物の適応(2)融合と多様性の獲得
 
石野潤 HP ( 46 大阪 教務開発 ) 01/06/01 PM02 【印刷用へ
サーモプラズマはぶどうの房状の塊となっているが、栄養状態が悪化すると、球状の細菌が隣細菌と融合してひょうたんのようになる。これが次々つながっていくと生物のからだのように複雑な形になっていきます。

大腸菌のような原核細胞では、接合によって、一方のDNAが相手のDNAの中に入り込んで、その一部が相手のDNAに組み込まれてしまう。細い管を通ってDNAが一部移動するだけで2つに分かれてしまう。

クラミドモナスは他の栄養条件がすべて満たされていても、窒素が足りなくなると5、6時間後には有性生殖を始める。窒素の条件が良くなるとまた2つに戻る。真核細胞の場合は核膜で仕切られているので、初めは多核化しだけで、環境条件が良くなったらもとの2つに戻るということか。

原核生物も真核生物も環境状態に対してくっついたり、離れたたりしている。その中から同類だけでなく、他の細菌を取り込むものが登場する。柔らかな膜が融合し大型化するとともに、小胞を形成して内膜系を発達させていったことは間違いない。

代謝系の進化に並ぶ、もう一つの方向はこの複雑化と体制化にある。その中で特に注目すべきは、融合により(重複し、ある意味では無駄な)DNAを抱え込んでいったことと、この複数のDNAを包み込む膜(核膜)を形成していったことにある。

生物は適応欠乏に貫かれて存在しているといえるかもしれない。複雑化は、環境条件の変化に対応する能力を高め、変化の許容範囲を広げるだろう。DNAの溜め込みは、新たな適応機能を次世代へ伝えるためでもあるし、未知なる環境変化への蓄積ともいえる。その体制化のありようが生物の多様性を決定づけている。これらが細胞内で秩序化されなければ、生存することも、さらに複雑化することもかなわないのである。
 
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