10月23日の日経新聞に「アタマを探る7」という記事がありました。一部引用します。
>身ぶり手ぶりから相手の意図をくみ取ろうとするとき、脳の中ではどんな仕組みが働いているのだろうか。そのなぞを解くカギとして、10年ほど前に見つかった「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞が改めて注目されている。<
>イタリア・パルマ大のリゾラッティ教授らは、サルが手で餌をつかみ取るときの脳内の神経活動を調べていた。そのとき反応する神経細胞が、他のサルが餌を取る様子を見るだけでも同様に反応することを発見した。他人の動作を自分の頭の中に写し出す鏡のような反応を示すことから、ミラーニューロンと名付けられた。(中略)国立身障者リハビリセンターの西谷信之感覚認知障害研究室長らが、人にもミラーニューロンのような部位があることを明らかにした。<
>棒の先を自分でつまんだときと、他人がつまむのを見るだけのときの脳内の活動部位を調べた。いずれも言葉をしゃべるときに関係する前頭葉の運動性言語野(ブローカー野)の領域が反応した。解剖学的にサルのミラーニューロンがあった部位に近い。他人がつまむのを見てすぐに自分もつまんだときは、その反応が一層強くなっていた。<
>赤ちゃんは親の身ぶり手ぶりから様々な動作を学び、自分の意思を表現できるようになる。今回の結果は、言語に関係する部位で他人の行動をあたかも自分の行動のように感じ取っていることを示した。<
この記事は、「相手と自分を同一視する機能が共認機能の原点であること(実現論1_4_05)」の有力な傍証です。心の奥底=潜在思念の次元では相手と自分は同一だと認識していることを、ミラーニューロンの機能は示しています。
潜在思念(共認回路)では同一なのに、顕在意識では自分と他者を分け隔てて認識するのは、自我を始めとする近代観念が原因だと考えられます。近代人は潜在思念と顕在意識が分裂しているとも言えます。両者を統合する観念(=社会統合版でも議論されている、誰にも共通する普遍認識)が、潜在思念と顕在意識をつなぐために必要なのだと思います。 |
|