これからの暮らしはどうなるの?
42800 「ちょボラ」考ー古色蒼然の意識操作を超えて
 
中村朋子 ( 54 大阪 教育 ) 02/10/24 PM01 【印刷用へ
「公共広告機構」がテレビ番組の間の埋め草に流しているキャンペーンフィルムに「ちょボラ」というのがある。「ちょっとしたボランティア活動」の略語らしいが、語感自体、やや背筋がぞっとする不気味さを持つが、例に挙げている行動がはみ出している放置自転車を少し脇へ片付けたり車椅子の障害者のためにエレベーターのボタンを押したりーわざわざ自発的に意識して(ボランティアの語源はラテン語のvoloー英語のwillで、意志を表す)行うことかと、考えてしまう。
 
 勿論悪いことを勧めているわけではない。よいことをしようと呼びかけているのだが、何か変だと思ってしまう。

 つまり、日常の、人間として何気なく行うことー目の前で転んだ人に手を貸して「大丈夫ですか」と声を掛けるなどーが、わざわざ意志を持って「善行」と意識して行うことと捉えられているからではないか。人のためになることはすべて「特別な活動」と捉えられているからではないか。そしてわざわざキャンペーンでそれを訴えなければ誰もしないだろうという「傲り」が感じられるからではないか。「都会の無関心」などこの40年近く常に喧伝されている。

 こういう呼びかけはむしろ、社会に生きる人間として自然に行うことを特別視することで、逆にそうした行動を控えさせてしまう恐れさえある。自分のすることをいちいち意味づけしていては疲れてしまうから。

 私権の衰退による無用な警戒心の消亡が進む現状況に水を掛けるー一見善行を勧めるという外被を持ってーマスコミのキャンペーン
を乗り越え、「自らの欲するところにしたがって矩を越えず」(特に意識して行動しなくても自然に人間としての規範に従っている」)という、孔子の唱えた理想の状態をもたらすのは、まさに「関係パラダイムの逆転」によってであろう。

 何の無理も無用な疲れもない、互いに幸いでいられる状況は、たった一つの「認識転換」によって、人間ー人類としての本源に基づく自然な行為によってもたらされる。

 

 
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