生命原理・自然の摂理
4022 外圧適応と多様化
 
石野潤 HP ( 46 大阪 教務開発 ) 01/05/11 PM01 【印刷用へ
3段階の外圧環境に対する適応戦略、興味深く読ませていただきました。それぞれの段階について、多様化という点から述べさせてもらいます。

>1.まず大変化の初期段階では、「自然圧力」が主圧力となる。
自然環境の大変化により生物の機能が停止する危機=絶滅の危機に瀕しているわけで、この段階の種(あるいは個体)にかかる外圧は、自然圧力>>種間圧力>個間圧力であり、生物にとって対自然闘争に勝つことが第一義的な意味を持つ。

自然外圧については、急激な変化と緩やかな変化では適応の戦略は変わってくると思われます。上記のような急激な変化とは、生物の側から見れば、機能の適応限界を超えていることを意味します。そのままでは絶滅であり、新たな機能の獲得が必要とされている状況です。

これに対して、捕食対象が緩やかに減るなどの変化に対しては、大きく形質を変える戦略は必要ないかもしれません。そこで生じるのが捕食をめぐる個間闘争であれば、幼い個体など相対的に捕食能力に劣る個体が淘汰されてしまうことになります。これでは子孫が残せません。生物一般に見られる集団性はこのような条件に対する適応として、古くから形成されてきたのかもしれません。または、集団本能を下敷きに適応戦略をとってきたといえるかもしれません。


>2.中期段階では、「他の生物との種間圧力」が主圧力となる。
自然環境の激動に適応した複数の種は新しいニッチを巡って競争関係に入る。自然圧力に一定適応している(外圧が下がる)ため、種間圧力>自然圧力>個間圧力であり、種の違いとは機能や形態が違うわけで、その種内の個体間の闘争の生み出す圧力など問題にならない。 (中略) ここでの適応戦略は、さまざまな可能性戦略を生み出し、進化の方向性を決めるほどの大戦略となるだろう。

特に、食物連鎖上の種間関係の激変(特に肉食動物の出現)は、機能や形態に大きな変化をもたらします。エディアカラの生物にははっきりした捕食動物の化石が見つかっていません。これに対して、バージェス頁岩から発見されたカンブリア紀の動物群は多様な生命世界を築いています。この時代の肉食動物の出現(種間圧力の激化)は、その形態や機能において、ありとあらゆる可能性を探っているかのような変異をもたらしました。

このような生物の変異を考える際には、より適応的か、そうではないか、という+と−はあっても中立などというものは存在しません。中立的な変化があったとして、それは変異から見て大きな意味をもたないからです。

蛇足ながら、ミツバチのチトクロムCの進化速度は中立説に従わないし、ウシ、ブタ、ヒツジのチトクロムCの一次構造は全く同じです。チトクロムCなど生きるためにどうしても必要なものは大きな変化にほとんど関係なかった(中立だった)というふうに考えたほうが整合するのではないでしょうか。


>3.後期段階では、「同じ種内の個間圧力」 が主圧力となる。
他種との共存あるいは競争の決着によってその種間の圧力が一気に下がった状態(自然圧力の低下及び種間圧力の低下=外圧低下)、その種にとって安定的な状態。 (中略) この個間闘争には捕食闘争と性闘争(性淘汰)が考えられるが、外圧が極めて低いという段階での餌の奪い合いはほとんど意味をなさないので、この個間闘争の中でも性闘争の圧力が主圧力になると考えられる。

生物の生存と進化を考えるとき、生命維持のための安定と環境変化に対応するための変異という要素が存在と思います。その際たるものが、オス(変異)メス(安定)分化による適応ではないでしょうか。

そして、上記段階での性闘争が生み出す性差の増大は、結果として個体間の体格差を生み出し、この体格差が結果として捕食上の個間競争を左右しているようにも思えます。
 
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