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歴史無視の表層的個人主義はウンザリ |
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村田貞雄 ( 54 静岡 企画 ) |
01/05/09 PM11 【】 |
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>事実に反するかかる欺瞞観念を高々と掲げて、人々を欺くのは、人類に対する極めて重大な犯罪行為ではないでしょうか。(6000年前から、一貫して掠奪と侵略を繰り返し、遂に世界をほぼ支配するに至った西欧人が作り出した観念であるという事実と重なっています。)
上記の傍証として、1961年に著述された『地に呪われたる者』へのサルトルの序とフランツ・ファノン自身の結論のエッセンス部分を紹介したいと思います。
この年代は、国連憲章が起草され、フランスが安保理事国として国連制度の中枢に参加した時代のことです。また、日本では、西欧理念の啓蒙が、新憲法のもとで、進んでいた時代でもあります。
サルトルによる序から
「最近まで、地上に住む20億の人びとは、5億の人間と15億の原住民から成っていた。前者は<言霊(ヴェルブ)>を自由に駆使し、後者はそれを借りていた。植民地では真実は常に赤裸々な姿を現していた。だが≪本国≫はこの真実を覆いかくしておきたがった。原住民は≪本国≫を愛せよと教えられた。若者が選抜され、その額にはやきごてで西欧文化の諸原理が印づけられ、口には音の出る轡が、つまりべとべとと歯にねばりつく大げさな言葉が押しこまれた。若者たちは本国における短期間の滞在の後、ロボットになって送り返された。生きた欺瞞そのものである彼らは、もはや同胞に語るべき何ごとも持っておらず、ただこだまのように反響するだけであった。パリから、ロンドンから、アムステルダムから、われわれヨーロッパ人が『パルテノン(民主主義)! フラテルニテ(友愛)!』などという言葉を投げかけると、アフリカやアジアのどこかで、唇が自ずと開いて叫ぶのである。『・・テノン! ・・ニテ!』と。それはまさに黄金時代であった。」
フランツ・ファノンの同著最終章「結論」から
「われわれの夢と訣別することが必要だ。古い信仰や、生命が開始される以前の友情を、放棄することが必要だ。不毛なくり言やヘドの出るような猿真似に空しく時を費やすまい。ヨーロッパのあらゆる街角で、人間に出会うたびごとにヨーロッパは人間を殺戮しながら、しかし人間について語ることをやめようとしない。このヨーロッパに訣別しよう。」
「ここ数世紀ものあいだ、ヨーロッパは他の人間の前進を阻み、これを己の目的と己の栄光とに隷従させた。数世紀以来、いわゆる「精神の冒険」の名において、ヨーロッパは人類の大半を窒息させてきたのだ。見たまえ、そのヨーロッパは今日、核による崩壊と精神の崩壊のあいだでゆれ動いているではないか。」
「ヨーロッパは、ただ人間に対してのみひたすらさもしく、人食いの姿を示したのである。」
「さあ、同朋よ、なぜ理解しないのか、われわれにはヨーロッパに追随する以上になすべきことがあるということを。」
フランツ・ファノン『地に呪われたる者』(原著1961年、訳本みすず書房発行、1996年復刻版より) |
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