吉田繁治氏『ビジネス知識源』<Vol.1147:これからの金価格についての総合論(前編)>を要約したもの。リンク
▼(2)2度目のFRBの下げ誘導:2013年〜15年
2度目は、2008年のリーマン危機のあと、再びドルの下落(120円→80円:−33%)を原因に、金価格が600ドルから1700ドルに上がったあとでした(2012年:2.8倍)。これは、米ドルの危機だったのですが、ドルが世界の基軸通貨であるため、「世界金融危機」とも言います。
日本は2018年末で、1018兆円の対外資産をもっています(推計80%はドル建て)。つまり・・・円はドルにコミットした共犯通貨です。このため、ドルの危機は、日本の危機になります。
FRBは、金価格高騰、ドル下落の2013年からは、空売りや先物売りではなく、金ETFの売り誘導(3年間で1162トン)をして、金価格を1100ドル(35%)、下げたのです。
(注)FRBの誘導とは、ゴールドマン、JPモルガン。シティバンク、バンカメ等の投資銀行と、その投資銀行のマネーを運用するヘッジファンド(預託資金量400兆円)に、金ETFの売りを要請することです。つまりFRBの「口先介入」であり、証拠は残らない。(2008年600ドル→2012年1700ドル→2015年1100ドル)
金ETFは、R家の夢でもあったペーパー・ゴールドとして、2004年に上場が認められた金の上場投信です。1990年代には、ありませんでした。
【結論】金価格は、FRBがドル基軸通貨体制の危機と認識されたとき、下げ誘導される。過去は、1回目が1980年から1999年、2回目が2013年から2015年だった。
今回も、2020年の第四四半期(9月〜12月)に小規模な、金ETFの売り越しがある。これは、FRBによる調整誘導ではなく、20年12月決算に向かっての、ヘッジファンドの益出しだった。20年3月に株価が33%下がって大きな赤字が出たので、ヘッジファンド8000本は、20年12月の益出しに迫られていた。運用に利益が出ないと、ファンドが破産するからである。
■金ETFと金融商品の価値についての、根底的な考察
【結論】金価格は、FRBのドル政策の、逆の評価関数である。このため、ドル高期待があるときは下がり、ドル安期待のときは上がる。 |
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