人類の起源と人類の拡散
376420 ネアンデルタール人の脳の発達は現代人と違う道筋をたどっていることが判明
 
しおたろう ( 22 京都 会社員 ) 22/04/03 AM08 【印刷用へ
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マックス・プランク進化人類学研究所の研究チームが、ネアンデルタール人と現代人の脳では発達の過程が違うという研究結果を発表しました。

ネアンデルタール人について、かつては人類の祖先と考えられてきたのですが、遺骨から得られたミトコンドリアDNAの分析によって別系統の人類であることがほぼ明らかになっていました。しかし近年のゲノム研究の結果から、現代人にもその遺伝子が受け継がれていることが分かり、一転、さらなる謎を呼んでいました。今回の研究は、この問題に別の角度から光を当てるものになりそうです。

約2万8000年前に存在したネアンデルタール人と現在の人類の新生児の脳を比べると、サイズはほぼ同じで、一見ほとんど同じように見えます。しかし、ドイツにあるマックス・プランク進化人類学研究所に勤めるPhillipp Gunz氏によると、その生後1年間の発達において特に顕著な違いが見られるとのこと。

Gunz氏は「生後1年半から2年の間にかけて、ネアンデルタール人と現代の人間の脳には、その発達の仕方に大きな違いが見られます」と語り、「この新しい発見は、人類の最も近い祖先の思考が現在の人間とどのように違っているかに光を当てるもので、人類の脳の進化についてその詳細を明らかにするきっかけになるものです」とこれを評価しています。

脳の比較は、ネアンデルタール人の頭蓋骨の断片をスキャンして組み合わせ、発達段階の異なるいくつかのパターンの新生児のモデルを使い、コンピュータ上で仮想のネアンデルタール人の脳を作り出して行われました。現代人の脳は最初の一年で神経回路がより活発に活動を始めており、これがホモ・サピエンスが自然淘汰を生き残るのに役立ったとも考えられるとのこと。また、大人のネアンデルタール人の脳は現代人とは違って小さく細長い形状をしており、この特徴はチンパンジーにも見られるそうです。

Gunz氏は「興味深いことに、現代の人類同士では、脳の大きさの違いは知的能力の程度とほとんど関係が無いということです。重要なのは、脳の内部構造なのです」とし、「ネアンデルタール人は、巨大な脳を持っていたことによって知的であったと考えられていました。しかし、脳の内部構造が現代人とは異なることから、彼らが我々と同じように世界を知覚していたとは考えられないのです」と語っています。

頭蓋骨のデータから構成されたネアンデルタール人の脳のイメージ。

かつてネアンデルタール人は現代人に最も近い祖先と考えられ、現代人と同じ種であると考える学者もまだ存在しているそうです。遺骨から得られたミトコンドリアDNAの研究によって、現代の人類とは違う種であることがほぼ明らかになりましたが、近年のゲノム分析の結果では、現代人のゲノムの約1〜4%がネアンデルタール人から来ていることが分かっており、さらなる波紋を呼んでいます。

特に、世界各国の現代人の遺伝子を分析した結果発見された変異体「haplogroup D」は、現代人がネアンデルタール人から受け継いだ遺伝子と考えられるとのこと。「haplogroup D」は、現代人の約70%に存在すると見られ、ホモ・サピエンスにおいては約3万7000年前に出現し、自然淘汰によって急速に人類の遺伝子として広まっていったと考えられています。

「haplogroup D」は他の変異体とは異なっていて、研究チームはこの変異体が少なくとも約100万年前には存在していたと考えており、これは現代の人類であるホモ・サピエンスの出現以前のことになります。研究チームは先史時代のホモ・サピエンスが「haplogroup D」を持つ種と交配したと考えており、その交配した種がネアンデルタール人なのではないかと推測しています。

ネアンデルタール人はホモ・サピエンスに先行して現在のヨーロッパ地域に分布しており、この「haplogroup D」はホモ・サピエンスがヨーロッパの環境に適応するのに役立ち、急速に広まったと考えられるとのこと。マックス・プランク進化人類学研究所のSvante Paabo氏は「この研究はネアンデルタール人の遺伝子が現代人にどのように貢献しているかということについて、最も魅力的な事例です」と語っています。
 
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