経済破局は来るのか?
373078 スタグフレーションに向かう世界―6
 
匿名希望 21/12/08 PM08 【印刷用へ
吉田繁治氏 ビジネス知識源:211119スタグフレーションに向かう世界  より抜粋引用 リンク 
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■米国の利上げの、日本への影響

まず日本へ影響から。日銀が政府の破産を避けるため、金利を必死に0%に抑えても、米国の長期金利が、2022年春以降、5%に上がれば、大挙して「円売り/ドル買い」が起こり、円は暴落します。円金利0%のマネーで、5%の確定金利のドル米国債を買えば、5%の金利に、円安の利益が加わるからです。円売りで、円が20%(22円)下がると、米国債への円キャリートレードの利益は25%です。5倍のレバレッジで米国債を買えば、250%(3.5倍/年)の利益になります。
このために生じる、巨大な円売りに対して、日銀は円金利0%を維持できなくなります。円金利も3%くらいに上げないと、国内では利益が0%の円の流出が止まりません。米国の金利が上がると、1.5%〜2%の差で金融機関やファンドが「円売り/ドル買い」をする円の金利も上がります。

円金利が3%に向かって上がる過程で、1200兆円の既発国債の流通価格が、下がって行きます。長期金利が3%になると、平均残存期間が8年の国債価格は、以下のように下がります。

1200兆円×(1+現在の金利0%×8年)÷(1+期待金利3%×8年)=1200兆円×1÷1.24=968兆円の評価額
含み損失1200-968=232兆円

・500兆円の国債をもつ日銀は、100兆円の含み損をかかえ、・他の金融機関(GPIF、都銀、地銀、生損保)が、132兆円の含み損です。これが、2022年春以降、一挙に生じます。金利の上昇は、株価も下げるので、含み損は、1.5倍(300兆円)になるでしょうか。

保有国債の下落での、GDPの46%に相当する232兆円の含み損は、日銀と日本の金融機関のほぼ全部を債務超過にします。金融機関は、相手銀行が債務超過になると、融資と借り入れの、銀行間取引ができません。銀行間取引ができなくなることが、銀行の死です。
BISの規制では、国際取引の条件は、自己資本8%が下限です。国内取引の下限は4%です。下がった国債を売らなければ損失は確定しない。このため、国債を売らず、保有を続ければ、自己資本は減らないという向きも、政府関係者に多い。これは完全な誤りです。
銀行間の取引では、担当者が、相手銀行がもつ債券の時価での自己資本をチェックし、そのうえで、取引をしているからです。これを怠れば、担当者は浮き貸しの不正取引をしたことになります。金融機関では、保有債券の時価での自己資本比率(安全性)が肝心です。
以上の理由から、金融機関では、保有債券の含み損で自己資本が消えると、破産への道になるのです。

金融機関の多くが国債の含み損で破産すれば、・金利が上がった新発国債の買い手が消えます。・国債を買ってきた金融機関は、日銀を含み債務超過になります。・政府は、必要な国債発行ができず、財政支出ができないでデフォルトに向かいます。国債には、買い手が必要なのです。

米国のFF金利が、2022年夏に、7つの地方連銀の前議長が述べるように3%に上がると、以上の事態が日本で起こります。
原因は、政府の国債の残高が1200兆円(GDPの2.4倍)と、世界1、大きいためです。
◎米国FRBが2022年にFF金利を3%にまで上げるかどうか。GDPに対する国債の発行残が、世界1大きな日本経済にとっては、コロナの6波、7波、8波の、10倍以上の大きさの、危機的影響を及ぼすでしょう。

米国が、国債価格の下落に脆弱な日本に配慮し、・FF金利を1%や1.5%に抑えるか、・連銀の元理事たちが述べている3%か、ここに、波及効果の天地の差があります。
MMT にかまけ、国債の大量発行=日銀による買い取りを、続けてきたことの結果が、間違いになります。MMTの思潮から、政府の財政赤字と国債発行には歯止めがなくなってしまった。MMTの誤りを指摘できなかった、財務省と日銀官僚の問題でもあります。首相への忖度(そんたく)の才能は進化させ、現代ファイナンス論(ロバート・マートン)のスタディはおろそかにしていました。
日本の政府と金融機関が、同時に破産しないためには、米国のFRBが、米国インフレを抑えるためのFF金利の上げを、2%未満にする必要があるでしょう。米国長期金利(10年債の金利)では、3.5%以下です。

【後記:可能性】米国民主党政権(バイデン)とFRBは、「日本の国債事情」を大きく顧慮して、2022年の利上げを行うかどうか。どう思いますか? バイデン政権の人気が36%に落ち、政権を続けられるかどうか、懸念が出ています(トランプは上がって45%付近)。民主党の知事と州議会の議員の落選が増えると、内部から「バイデン降ろし」が起こるからです。支持率が30%台に落ち、横浜市選で自民党候補が敗れた菅首相の末期と同じことが、米国民主党に起こっています。
米国のコロナ危機への、財政の拡張もGDPの20%(400兆円)と大きいので、利上げそのものは、ほぼ(90%)確定したと言っていい。
2022年の日本には、首相をすぐ辞めたくなるくらいの困難が待ち構えています。この時期に首相になるということが、1年後の経済への見通しがないことの証拠でしょう。
個人としては、日本の0%の長期金利が2%くらいに向かって上がる兆候が見えたとき、金価格が世界の金利上昇で下がっているなかで余分な預金を引き出し、金現物を買っておくことです。1200兆円の国債(債券の代表)と、時価総額700兆円の株式が同時に暴落するとき、増えた信用通貨は自分を増やす選択肢を失い、最後に金に向かいます。
 
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