人類の起源と人類の拡散
350993 肉食になることで、人類の脳は大きく発達した
 
匿名希望 19/11/11 PM00 【印刷用へ
リンク

「さあ、今夜はごちそうにしよう! 何が食べたい?」 こう聞かれて、野菜料理を挙げるひとはまずいないだろう。ごちそうは肉料理に決まっている!(ベジタリアンを除いて) レストランでも、メインディッシュと言えば、肉か魚料理——つまり広義の「肉」料理——である。

肉(とくに赤身の)を多く摂れば健康に良くないことは、すでに数々の研究で知られている。また、地球環境への影響も大きく、肉食は全温暖化ガスの原因のうち最大で22%を占める。

私たちの健康にも、地球環境にも良くない肉食。それでも、いっこうに減る様子はない。それどころか、急速な経済成長をとげる中国やインドなどで、肉食はすごい勢いで伸びている。また、米国などの先進国でも、肉の消費量は増えているのだ。

まるで人類は肉食に取りつかれているとでも言うように。私たちは、肉に魅了され、肉を愛し、肉がやめられない。いったい、なぜ? 

ほかの食べ物がまわりに豊富にあっても、肉食をやめられない状態は「肉飢餓」と呼ばれる。肉飢餓は生理的なものというより、文化的な問題だ。たとえば、わが国でも「肉食系」という比喩があるように、恋愛やセックス、男らしさなどとも深くかかわる。

人類の祖先たちのような狩猟採集社会では、大きな獲物をしとめる男たちの狩りの腕前が評価される。賞賛されるのは、豊富な肉が家族の空腹を満たしてくれるからではない。ハンターは食糧が乏しいときではなく、豊富にある時期に大きな獲物を追いかける。成果が得られないことも多く、危険も伴う。

肉が特別なのは、まさにそれが入手しがたい希少品だからだ。狩りは危険であり、その腕前は男たちの力の誇示となり、女たちにもモテる。実際、狩猟採集社会では、有能な狩人が若く働き者の妻を得て、狩りの下手な男よりも、たくさんの子どもをもつ傾向がある。

また肉は腐りやすく保存に向かないため、仲間とともに分け合って食べることによる喜びや一体感をもたらす。こうして肉と男らさしさや力とが結びつき、父権制社会の進展とともに富や権力を象徴するものともなる。

肉が私たちを「人間」にした!
だが、人類と肉食とのつながりはもっと深い。なにしろ250万年の関係なのだ。初期のヒト属はもっぱら果実や葉を食べるベジタリアンだった。その後、250万年前頃に肉食が始まったのだが、その要因のひとつは気候の変化だったとされる。

人類の特徴である大きな脳は、肉食によってこそ発達した可能性が高い。大きな脳はエネルギーを大量に消費する。つまり、脳が大きくなるには、ほかの臓器に回しているエネルギーを切り詰める必要があった。その臓器とは腸であり、腸が短くなるためには、カロリーの高い食事が欠かせない。それこそが、肉だった(火による調理で、いっそう肉から栄養を吸収しやすくなった)。

また、狩りは精力的な活動で、厚い体毛に覆われていたら過熱状態に陥ってしまう。そのため、体毛の薄い祖先たちが有利になり、進化していったのかもしれない。

さらに仲間たちとの組織的な狩り、獲物を分け合うこと、その競争や駆け引きなども、ヒトの社会生活を複雑にし、脳を発達させる要因となっただろう。従来は消化に費やしていた時間を、社交に当てることもできた。こうして、さらに集団が大きくなると、また脳も大きくなっていく。

人類の祖先が生まれ故郷のアフリカから出て、地球各地へ広がることができたのも、肉食だったことが大いに貢献している。植物は地域の生態によって異なり、どれが適切な食材なのかすぐには見極められない。ところが、動物の肉は哺乳類や鳥類ならどれでも食べられる。
やはり肉は特別だった。私たちが「人間」になったのも、肉食のおかげかもしれない。
 
List
  この記事は 211321 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_350993
  ※トラックバックは承認制となっています。

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

 必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
素人の社会活動19 素人と創造
素人の社会活動26 創造の資質
素人の社会活動28 現実を対象化する=思考する
素人の社会活動29 私権時代の歪んだ思考(主張・説得・議論)
素人の社会活動30 現実を対象化する思考=事実認識
素人の社会活動34 創造(=探求)のパラダイム転換
潜在思念発の大きな方向と大きな構成
因果関係と収束関係(実現関係)の矢印
原因→逆境(不全)⇒どうする?⇒可能性収束  
原基構造の不変部分と可変部分
「観念力を鍛えるには?」(1) 話し言葉と書き言葉の断層はどこから登場したのか?
「観念力を鍛えるには?」(2) 5000年前の文字登場以降、共認機能は衰弱している?
「観念力を鍛えるには?」(3) 「理解する」とはどういうことか?
「観念力を鍛えるには?」(4) 求道者と解釈者では思考の自在さが全く違う
詭弁を説明しようとするから難解になってゆく
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(1) 共認充足が最大の活力源。'10年代はそれだけで勝てる
「日本人はいつ物を考え出すのか?」(2) 学習観念が役に立たないのはなぜか?
新理論を生み出すのは、専門家ではない普通の生産者
現実否定の自己欺瞞
社会運動の自己欺瞞
旧観念と新しい概念装置の決定的違い
「旧観念無用」という認識が生み出す気付きの深さ
市民運動という騙し(社会運動が社会を変えられなかった理由)
民主主義という騙し:民主主義は自我の暴走装置である
『生命と場所』より…生命観
共生思想ということ
精霊の措定は手順律の逆転か?
「生物的な知」と「機械的な知」
「変性願望」批判
認識の創発性
認知と探索と統合
マイナス原因構造とプラス実現構造という両輪
未知の世界の知性?
シャーマニズムと幻覚回路
楢崎皐月氏のカタカムナ説(1) 宇宙から素粒子に至るまで、万象は共通構造(相似象)を示す

『るいネット』は、48年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp