宇宙・地球
305655 海溝で海洋プレートが大陸プレートの下に沈みこむとは?
 
麻丘東出 ( 54 兵庫 環境コンサルタント ) 15/07/06 PM10 【印刷用へ
地球の表層は(プレートテクトニクス学説的には)地殻+上部マントル(硬いマントル)=プレート(リソスフェア)で覆われ、そのプレート表面の地殻は海洋と大陸で異なる岩石からできているため、海洋プレートと大陸プレートと区別される。
そして、大陸間での古生代後期の動植物化石や氷河の痕跡、さらに地層の古地磁気分析から、海洋と大陸のプレートはともに地球上を移動していることが明らかになってきているらしい。
最近では、地球(太陽系)から非常に遠い存在の天体クエーサー(準星)からの電波を使って、地球上の2点間の距離を極めて正確に測定する技術(VLBI=Very Long Baseline Interferometry)が発達し、例えば日本とハワイの距離がmmの精度で測れるようになって、ハワイは1年で6cm程度の速さで日本に近づいていることが確認されている。(国土地理院:リンク

Q.なぜ、プレートが移動するようなことが起こるのだろう?
何千kmもの広がりを有する大型プレートが移動するためには、並みの動力源では不可能であり、現在に至ってもその動力源については推測の域をでていない。
そのなかで、プレートが対流するマントルの上に乗ってベルトコンベアのように移動するという説は古く間違いであることは認められている。現在有力となっている説は、海嶺で新しいプレートを生産し(発散境界)、海溝で古いプレートが沈み込み消滅する(収束境界)というサイクルの説。そしてプレートを動かす原動力は、「スラブ引張り力(海溝でのプレートの沈み込みによりプレート全体を引っ張る力)」が約95%で、残り約5%が「海嶺の押し力」とされている。潜り込むプレートがその重さで残りの部分を引っ張っているというもので、あたかも少しテーブルからずれて一部が垂れたテーブルクロスが、自分の重さで残りを引っ張って全部がずり落ちてしまうというイメージなので、テーブルクロス説というが、なんともスッキリしない。

Q.なぜ、海溝でプレートが沈み込むのだろう?
これの有力な説が、プレートの重さの違いの説である。
海洋プレートの地殻は、火山岩の一種である玄武岩が主で、鉄やマンガンなど重い元素が多い鉱物で構成され、岩石のなかでも重い。
また、海洋底は海嶺での火山活動によって常に新しい玄武岩からつくられるため、同じ海洋プレートでも海嶺から海溝に向かって玄武岩の年代は古くなっていく。一番古い玄武岩は海溝近くにあり、もっと古いものは海溝の奥に潜り込んで消えていく(2億年より前にできた玄武岩は海底にはほとんど残されていないらしい)。そのため、海嶺から噴出した熱い新しい玄武岩と、海溝に近い冷やされた古い玄武岩では比重が違い、海嶺から離れるほど海洋プレートは重くなる。
これに対し、大陸プレートの地殻は、岩石が形成された年代もいろいろで多様であるが、主には花崗岩で、その他に堆積岩や変成岩などで構成され、海洋プレートに対して相対的に軽い。
そのため、海洋プレートと大陸プレートがぶつかった時、海洋プレートの方が重いため、海洋プレートが大陸プレートの下へ潜り込む。また、同じ海洋プレート同士がぶつかったときも、新しいプレートよりも古いプレートの方が重いため、古い海洋プレートが新しい海洋プレートの下へ潜り込む。例えば、伊豆小笠原海溝では新しいフィリピン海プレートの下に古い太平洋プレートが沈み込む。関東周辺では、北米プレートの下にフィリピン海プレートが沈み込み、その下に太平洋プレートが潜り込む。

◎海洋と大陸のプレート重さ比較(※プレート単位面積当たり)>
大陸地殻(花崗岩質:密度2.7g/cm3、厚さ30〜50km)、海洋地殻(玄武岩質:密度3.0g/cm3、厚さ5〜10km)、マントル(密度3.3g/cm3)→(※大陸地殻:海洋地殻:マントル=9:10:11の密度比率)
プレート(地殻+上部マントル=リソスフェア)の厚さは約100kmといわれているので、それを基準に試算すると「海洋プレート > 大陸プレート」にはなる。
・海洋=3.0t/m3×(5000〜10000)m+3.3t/m3×(95000〜90000)m = 328,500 〜 327,000t/u
・大陸=2.7t/m3×(30000〜40000)m+3.3t/m3×(70000〜60000)m = 312,000 〜 306,000t/u
※しかし、これは「プレート=地殻+上部マントル」の前提であって、地殻だけの比較なら大陸プレートの方が重くなり海洋プレートの沈み込みは成立しない。

Q.なぜプレート(リソスフェア=地殻+上部マントル)が、より重い下部マントル(アセノスフェア)に突き刺すように沈み込めるのだろう?
これについては、冷えたプレートの密度がアセノスフェアより大きくなるため(重くなるため)と説明されるが、これもスッキリしない。

ここまで、プレートテクトニクス学説を基に考えてみたがスッキリしない。古地磁気や化石分析はまだ科学的説得力があり、大陸は歴史的に離合集散をの動きをしてきたようだが、どんなメカニズムでプレートが動くかに対し重さの違いによるプレート沈み込み説では理解できない。
Q.そもそも「プレート(リソスフェア)=地殻+上部マントル」とする前提が違うのでは?
Q.太平洋中央部とアフリカ大陸の南あたりの巨大なマグマの上昇流(スーパープルーム)とそこからの熱の道とプレート移動の原動力との関係は?
Q.創世期マグマオーシャン後の地球史は、太陽からの輻射や放射性元素の崩壊エネルギーもあるが(放射性元素の崩壊熱は地球創生時の集積熱の数%ともいわれている)、基本は熱を宇宙に放出する歴史、つまり高温から冷却の歴史であるから、地球の表層は『収縮』し続けているのでは?

→とすれば、基本は収縮圧力が地球表層に働いており(→大陸の集合)、周期的に発生する膨大な放射性元素の崩壊エネルギーの発現であるマグマの上昇流による膨張圧力が働く(→大陸の分裂)、そのメカニズムとして地殻が動くと解釈すべきでは?
 
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305855 大陸形成の説 〜「古地磁気極」と「海溝での沈み込み」が焦点 麻丘東出 15/07/11 PM10

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