> ◇体温は最高でも、せいぜい40℃であり、この温度では、脂肪も炭水化物も「燃焼」しない。つまり、人体内部で食物が「燃えて」いるわけがない。
> ◇そもそも、細胞内の代謝と大気中の燃焼はまったく別の現象である。
(290351 栄養学の嘘:食物のカロリー表示は全く意味のない数字)
呼吸とは、空気中の酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す運動です。これを化学的に見ると、食べた食物のうち主として糖やデンプンのような、いわゆる炭水化物を酸素と反応させてエネルギーを取り出す反応で、これを“代謝”と呼びます。この代謝によって炭水化物は次のように二酸化炭素と水にまで分解されます。
(呼 吸)
炭水化物+酸素 → 二酸化炭素+水+エネルギー
↑ ↓
吸収 呼出
炭水化物に火をつけて燃やしてみると、やはりこれと同じ反応が起こって大量のエネルギーが熱となって出てきます。
例えば、火力発電は化石燃料(石油や石炭、天然ガスなど)を燃やし、そのとき発生する熱エネルギーを利用して蒸気をつくり、その蒸気の力でタービンを回し、タービンにつながった発電機を動かして発電しています。
このように見てくると、私たちの“呼吸”は、火力発電の“燃焼”と同じ化学反応によってエネルギーを得ているように見えます。しかし、次のように、呼吸と燃焼とは大きく違っているところがあります。
◆呼吸では、燃焼のようにエネルギーが“熱”となって出てこない。
◆火力発電ではたえず燃料を燃やしていないとタービンが動かすことは出来ないが、人間はたえず食事をとらななくても行動することが出来る。
この違いは、“呼吸”のしくみを詳しく見てみると明らかになります。
呼吸では、燃焼のように炭水化物をいっきに二酸化炭素と水にまで分解して多量のエネルギーを出すのではなく、少しずつ小きざみに分解しはがら、その際発生するエネルギーをATP(生体内でエネルギーの「通貨」としての役割を果たす物質、リンク参照)として保存しています。そして、必要に応じてこのATPを利用します。
代謝には、酸素を使わない(嫌気的)「解糖系」と、酸素を使う(好気的)「クエン酸回路」「電子伝達系・酸化的リン酸化」による系があります。(リンクの図(リンク)を参照)
炭水化物は30段階ほどの化学反応を経てはじめて二酸化炭素と水にまで達します。これが、私たちの体温がつねに37℃に保たれ、しかも食事をしないときでも動けることの秘密です。
このように、呼吸と燃焼とは見かけ上は似ていますが、詳細な仕組みはまったく違うものなのです。
ところが、従来の栄養学では、蒸気機関車のように単純な内燃機関と人間の代謝を同一視し、生体内で起こるさまざまな生化学的変化・生理学的反応を全く考えてません。また、食卓に並んだ食品のカロリーを計算するばかりで、摂取した食べ物がどのように吸収され、どのように代謝されるかを全く無視しています。
まさに、栄養学の「カロリー計算」とは、机上の空論に過ぎないのです。
参考:
中村運著『入門・生命科学』『生命科学』
無意味なカロリー計算 リンク
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