中西さん、こんにちは。
人間の生き方を考えるうえで、中西さんが述べられている「地球システム全体からの視点」については、私も重要であろうと思うところがあります。
この視点というのは、本来、地球生態系の動向を包括的かつ長い時間のスケールで見るというアプローチであり、還元的で単純な系の中では抜群の力を発揮する今の近代科学とは違い、システム全体とその要素群の相互関係を探ろうとする意味で非常に重要だと思っています。
また、この考えに近いものを近代科学以前の世界で捉えれば、私自身も興味がある領域なのですが、古代中国で発生した「風水思想」などにその源流を求められ、もっと遡れば、人間が観念を創出する原始人類の「精霊信仰観」にその源流を求めていくことになります。それは、現実に生きていくうえでの自然観です。
ただし、地球システム論的なアプローチでの成果である「生態の遷移理論」などの例を見るまでもなく、現状ではこのアプローチも、ある程度閉じた自然の物質循環やある相を動態的に固定することを前提としなければ論じることができない限界を抱えています。つまり、残念ながら手法論として、研究対象の二次的モデルを作り出し、さらに対象の近隣対象をも説明可能な高次のモデルを作り出し・・という方向である近代科学の影響下でのアプローチから抜けきれていないのではないかという感をもっています。
では近代科学がもつ手法から脱皮すればいいではないかというと、もととなるべき認識群が、近代科学をつくっている近代思想なりの価値観念(機械論や自由や個人など)に冒されているため思考のパラダイムが固定され、科学に対するアプローチだけ抜けきることはできないと思います。
(少し先走りますが)環境問題は、現象事実として自然の摂理が冒された状況を示しているため、問題の対象を自然科学の領域絞り込もうとします。
しかし、私は、おそらくこの方向性と反対の方法をあわせて考えることで環境問題の全貌が把握されるのではないかと思っています。
そこから人々の意識(つまり生き方)を変える事ができたとき、地球システム論的アプローチもより生かされてくるのではないかと期待しているのです。
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