生物学を切開する
29176 生物多様性のなぞ、その実現構造2
 
吉国幹雄 ( 49 鹿児島 講師 ) 02/04/23 AM00 【印刷用へ
4月10日付けの読売新聞で次のような見出しが目につきました。

「生物多様性の謎 相互作用で解明へ」 

四方哲也阪大助教授らの学説が「ジャーナル・オブ・モレキュラー・エボリューション」の第一回最優秀賞に選ばれたそうです。「複数の種が住む環境では、適応能力の高い種だけが生き残るのではなく、どこかで共存関係が成立し、時と場合によっては勝者が入れ替わる」とし、優れた種しか生き残れないとする進化論だけでは説明できなかった、生物多様性の謎解きに繋がる成果として世界に認められたということだが、…

「四方助教授らは、必須アミノ酸の一つを作る酵素の遺伝子について、活性の強さを少しずつ変え、その他の遺伝子は同一の大腸菌を数百種作成。培養槽で増殖度を競争させた。すると、世代交代を重ねるうちにほとんどの種類は滅びたが、最終的に一種だけにはならなかった。培養槽全体の8、9割を占める種が出ても、その他の種も生き残り、共存していた。

同じ条件で培養を繰り返しても、特定の種が最大数に達せず、あるときはメジャーだった種が、別の場合は途中で消滅した。酵素の活性が高いほど、生き残るとも限らなかった。この結果について、研究グループは「生物間の相互作用」が鍵を握ると見る。勝ち残ろうとする種の代謝産物が細胞膜から漏れ、他の種にも行き渡る。すると、環境適応能力を少しずつ拝借して変異を遂げる種が現れ、共存が始まる。逆に代謝産物を取り除いて、相互作用が起こらない条件にすると、適応能力の高い種だけが生き残った。

『他者と影響しあうことで、さまざまな能力を持った個体が現れる。だからこそ、地球上で生物の多様性が成立した。環境と遺伝子によって勝者が決まるわけではないようだ。』」

人工培養での実験は、現実の環境を再現するわけではないので、そのまま全面的に正しいとはいえないと思いますが、確かに種同士(個体同士)の他者との協同作業での適応という指摘は十分にありうる話だと思います。が、果たしてそれで多様な生物の出現を説明しきるかどうか。
 
List
  この記事は 29173 への返信です。
この記事に対するトラックバックURL  http://www.rui.jp/tb/tb.php/msg_29176
  ※トラックバックは承認制となっています。

 この記事に対する返信とトラックバック
29387 共に進化 高田敦 02/04/25 PM01
29342 多様な進化のシステム 山本士峰 02/04/24 PM11
29203 利他行動 高田敦 02/04/23 PM00

[過去の記事へ]
[一覧へ戻る] [新しい記事へ]


◆実現論本文を公開しています。
 実現論 : 序  文
 第一部 : 前  史
 第二部 : 私権時代
 第三部 : 市場時代
 第四部 : 場の転換
 参考文献

「合同板」必読記事一覧
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
「経済破局に至る基本構造」
銀行国有化しかない
金貸しの没落=私権原理の終焉
2008年、世界金融危機は何を意味するのか?
西欧近代:宮廷ユダヤが王族への借金をカタに近代国家システムを形成
日本銀行の通貨発行の仕組み
影に隠れて暴走してきた金貸しの支配が明るみになった
TPPをめぐる俗論を反証する@〜横行する数字のトリック、おかしな議論への反証
TPPをめぐる俗論を反証するA〜「国益VS農業保護」論は、国益に反する
国破れてTPP在り
忘れられた経済学者シルビオ・ゲゼル@
忘れられた経済学者シルビオ・ゲゼルA
脱金貸し支配・脱市場原理の経済理論家たち(2)カール・ポランニー
脱金貸し支配・脱市場原理の経済理論家たち(3)ミヒャエル・エンデ
脱金貸し支配・脱市場原理の経済理論家たち(5)エルンスト・フリードリッヒ・シューマッハー
脱金貸し支配・脱市場原理の経済理論家たち(7)サティシュ・クマールその2
脱金貸し支配・脱市場原理の経済理論家たち(8)ヴァンダナ・シヴァ
脱金貸し支配・脱市場原理の経済理論家たち(9)宇沢弘文
江戸時代の思想11 大衆支配のための既成観念を全的に否定し、新概念を創出しようとした安藤昌益
現状の経済システムに問題あり
作られた物欲
過剰消費のもう一つの理由
消費社会と受動社会がつくり出す、矛盾と危険性
国債残高
貨幣の問題をめぐってC
貨幣の問題をめぐってD
長期金利の上昇は本当に起こるのでしょうか?
市場「原理主義」の限界
市場は等価交換ではない、外部不経済を捨象している
等価交換など存在しない
消費の自由のいかがわしさ。
消費が変わる。消費を変える。
「所有価値」から「利用価値」への転換
市場社会は人間の欲望を飽くことなく増幅させるーーー金銭犯罪の五つの類型
フェアトレードは市場拡大の幻想取引ではないか?
自我経済学から共認経済学へ
「需要発から供給発へ」
諸外国の公共事業民営化はなぜ失敗したのか?

『るいネット』は、50年の実績を持つ起業家集団・類グループが管理・運営しています。るいネットワーク事務局(Tel:0120-408-333, E-mail:member@rui.ne.jp