引き続きこの国は電力会社に丸ごと買収されていた、原発マネーに群がった政治家・学者・マスコミ(週刊現代)リンクより転載します。
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別の経産省元キャリアはこう証言する。
「役人が少しでもおかしな動き、例えば電力のライバルであるガス会社に有利なことを発言したら、電力会社の担当者がすっ飛んできて『ご説明を』となる。その際には、説明資料にビール券が挟まれたりしています。省内では、それらを集めて年末の忘年会や課内旅行の資金にしていました。
他にも生まれ年のワインをもらったり、子どもの誕生日に豪華プレゼントをもらったり……。仲間内では、接待漬けで電力会社寄りになった奴を『感電した』、逆にガス会社寄りの奴を『ガス中毒になった』と言って区別していたくらいです」
経産省と電力会社の癒着の象徴が、5月2日に明らかになった「電力会社への天下りリスト」だ(次ページ表参照)。経産省の発表によれば、過去50年に68人の官僚が電力会社に天下りしていた。東京電力に天下った石田徹前資源エネルギー庁長官は4月末に辞任を余儀なくされたが、現在も13人が役員や顧問として電力会社に在籍している。
「石田氏などはエネ庁長官時代に電事連の意を受け、再生可能エネルギーでなく原発を推進するエネルギー基本計画を立てた張本人です。彼らは、いったん政府系銀行などに天下り、そこをクッションにして電力会社に再就職する。そして東電副社長などの指定席≠ノ収まるのです」(天下り問題を国会で提起した共産党の塩川鉄也代議士)
官僚と電力会社がズブズブ≠セったのは、何も経産省だけではない。原子力関連予算4556億円のうち、資源エネルギー庁や原子力安全・保安院を抱える経産省の取り分は1898億円だが、日本原子力研究開発機構を管轄する文部科学省は2571億円、原子力安全委員会が所属する内閣府には17億円の予算が計上されている。
いま政府は、福島県内の子どもの被曝量の許容値を年間1_Svから20_Svに引き上げるなど、「放射能は危険がない」との正気を疑うキャンペーンを張っているが、原発を監視し、安全性を確保すべき立場の監督官庁が電力会社と一蓮托生なのだから、政府内でのまともな議論など、ハナから望むべくもないわけだ。
そして、この政官財一体となった原発推進キャンペーンに、資金や研究環境の便宜供与を受けて加担しているのが、いわゆる御用学者≠スちだ。
事故発生後、「原発は絶対に爆発しません」と菅首相に吹き込んでいた原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長(元東大工学部教授)を筆頭に、空疎な安全神話≠唱える学者たちの存在が表面化した。端から見たら非常識としか思えない、こうした御用学者が居並ぶ理由を、元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二氏はこう説明する。
「電機や機械と違い、原子力の場合は研究におカネがかかり過ぎるのです。国や電力会社がカネを出さなければ研究ができない異質の分野が原子力なのです。
だから研究の裾野が広がらず、異なる価値観が共存することもない。したがって原子力村には相互批判がなく、いつでも『原発は安全』になってしまう」
原子力村では、准教授になった途端に国から声がかかり、各種委員会など原子力関連の政府組織に名を連ねることができるようになる。すると、より詳しい研究資料の入手もできるようになり、学生の指導もしやすくなる。電力会社から多額の謝礼で講演の依頼なども入るようになり、定年後には各社が運営する研究所所長などのポストも用意されるという。
しかし、正直に原発や放射線の危険性を指摘して、ムラ≠ノ反逆したと判定されてしまうと、御用学者とは正反対の恵まれない学究生活が待ち受けているのだ。東京大学工学部原子力工学科の1期生で、立命館大学名誉教授の安斎育郎氏はこう語る。
「大学院生だった1960年代後半、日本科学者会議などの場で原子力行政を批判したところ、たちまち学内で干されました。その後、米国製軽水炉の欠陥を指摘したり、原発予定地の住民の相談に乗って反対運動に加わると、『反原発を扇動している』などと言われるようになり、各電力会社に安斎番≠フ社員まで置かれるようになりました」
その当時、安斎氏が講演すると、必ずそうした番≠フ社員が内容チェックにやってきて、彼らや公安関係の刑事から尾行されることもあったという。
「東電の社員から、『3年くらい海外に行ってくれないか。カネは用意するから』と言われたこともあります。もちろん断りましたが、私に消えてほしかったのでしょうね。東大には17年間勤務しましたが、最後まで助手のままで、その間、補助金はほとんどもらえませんでした」(安斎氏)
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続く |
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